2015・No.1200
月刊保団連 12
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「道」
「下流老人」は自己責任か
藤田孝典
特集
高齢社会と口腔の健康
これからの高齢者歯科医療への展望
 ─保険でよい歯科医療の実現をめざして

●本稿では「やっぱり歯が大事」「歯科なしでは超高齢社会を乗り切れない」という超高齢社会の新しい枠組みの中で、超高齢者社会とは、疾病構造の変貌、医科歯科連携やチーム連携について、歯科自身の認識の変革と歯科が活路を見いだすための障壁になるのは何かを考えてみたい。

竹田正史
避けて通れない摂食嚥下障害への取り組み
●超高齢社会の進行とともに顕在化した摂食嚥下障害の現状を紹介する。
● 摂食嚥下障害に対する医療の取り組みを概説して、その中で歯科医療の立場から考えるべきテーマについて、口腔や咀嚼機能の維持・回復の重要性を中心として解説する。
●また、現在の摂食嚥下障害に対する医療の課題を、介護食のあり方や地域での取りみなどを通して考える。
井上 誠
歯周病と全身疾患とのかかわり
●細菌性バイオフィルムによる慢性炎症疾患である歯周病は、単なる「口の病気」であるだけではなく、全身の健康に影響を及ぼすことが明らかとなってきた。特に糖尿病や循環器系疾患などのメタボリックシンドロームと歯周病との関わりが注目されている。
●歯周病は、高齢者で問題となる誤嚥性肺炎の原因の一つとも考えられ、高齢者における口腔ケアの重要性が認識されている。
●社会の超高齢化に伴って今後ますます増加することが予想される全身疾患を伴った患者において歯周病治療、歯周病予防が重要になってくると思われる。
山田 聡
糖尿病療養指導のための歯周治療の重要性
●歯周病は糖尿病の合併症としてとらえられてきた。一方で、糖尿病患者で高頻度に発症・進行する歯周病が重症化すると、生体に軽微な慢性炎症を惹起する。軽微な炎症はインスリン抵抗性を惹起し、耐糖能を悪化させる。従って歯周病による炎症を可能な限り減弱させるような治療で、ヘモグロビンA1cが改善する。
●とりわけ、日本人2型糖尿病患者は欧米人並みの肥満を呈さないケースがほとんどであるため肥満そのものによる炎症が微細であり重度歯周病による炎症が顕在化しやすい。
●糖尿病の療養指導上欠かせない歯周病の知識を概説する。
西村英紀
超高齢社会に求められる歯科医療の質とその確保・安全を保障するために
 ─ 2016 年度の歯科診療報酬改定で要求していること
●少子高齢社会を迎え、歯科を取り巻く環境が劇的に変化している今、歯科医療そのものがパラダイムシフトしていく必要に迫られている。
● 特に高齢者については、超高齢化が進み通院が困難になるケースが増えていくことからも在宅歯科診療の充実、また、年齢とともに合併症が増え、治療難度やリスクが増加していくことから、医科歯科連携の推進が重要課題となってくる。
● 併せて、「機能」という視点から歯科におけるリハビリテーションについても考える必要がある。
田辺 隆
論考
被爆者問題を通して社会福祉と平和を考える
◆核兵器の存在は人類の生存と世界の平和を脅かし続けており誰もが被爆者になりうる。被爆者問題は単に被爆者の問題ではない。
◆人間の「いのち、くらし、こころ」に直接かかわる福祉専門職の基本姿勢は「平和なくして福祉づくり出来ず」である。社会福祉の援助は自ら反原爆・反戦争につながる。
黒岩晴子
診療研究
歯科金属アレルギーの診断と治療
第2回 原因の特定と使用可能材料の検索
●歯科金属アレルギー治療で最も重要なことは、本当に歯科金属が原因かどうかを判定することである。原因を特定し、口腔内から除去することで、治癒することになる。
●われわれ歯科医師にとっての仕事は、症状の改善を確認するだけでは終わらない。口腔内で使用してもアレルギーを起こさない歯科材料を検索し、それにより口腔内を修復することが必要になる。
高 永和
シリーズ 心電図の生き字引
 診断の実際─2─
三原純司・関口守衛
シリーズ
経営・税務誌上相談 424
出国時の譲渡所得課税
益子良一
雇用問題Q&A 168
医療機関で目立つ「マタハラ」
曽我 浩
会員
ドクターのつぶやき川柳
〈選者〉 大西俊和
書評
 『THE 精神病 当事者の赤裸々な体験記』
仲里尚實
 『安倍壊憲クーデターとメディア支配』
宇都宮健弘
文化・交流 各地の文化活動 ─20─
写真展で届ける保険医の思い
群馬県保険医協会 秋山典夫
VOICE
―10月号を読んで―
詰碁・詰将棋
編集後記・次号のご案内

総目次(2015 年1月号〜12 月号)