国民医療改善に反する診療報酬本体の0%改定に抗議する

                                  2003年12月19日
                                全国保険医団体連合会
                                    副会長 宇佐美宏

 政府は18日、診療報酬を1.05%引き下げる中医協の決定を了承した。小泉首相は自ら診療報酬本体のマイナス改定を強く指示したが、本体部分は据え置かれた。

 これは、昨年の診療報酬本体のマイナス改定や患者負担増による受診抑制により医療機関の経営が悪化し、地域医療の確保など国民医療に多大な影響を与えている現状を無視できなかった結果である。また、国民医療改善をめざしてマイナス改定に反対した医療界の一致した要求と運動の成果でもある。

 しかし、診療報酬本体を据え置いたとはいえ、薬価引き下げ分を技術料に振り替えず、昨年に続くマイナス改定となった。前回改定のマイナス分を含めた実質的な引き上げを求める多くの医療関係者の願いからみるならば、極めて不十分である。

 また、中医協は「合理的でメリハリのついた」改定としているが、本体部分の医療費を据え置いたままでは、前回再診料の逓減制のように各科の矛盾を拡大しかねない。

 これらは、この間の高齢者負担増や健保3割負担など医療費の総枠抑制をめざす小泉「構造改革」によるものである。改めて医療・社会保障優先の政策に転換することを強く要求する。

 医療経済実態調査結果では、医科診療所、歯科診療所ともに、前回調査と比べて1診療所当たりの職員数が減少している。職員数の縮小は、提供する医療サービスの低下や医療事故にもつながりかねない。このため、医療の質と安全の確保を図る上で診療報酬による経済的保障が不可欠の課題となっている。今後の診療報酬改定内容の審議にあたっては、こうした点に十分配慮することを要望する。

 本会は、国民の命と健康を守り「保険で良い医療」を保障するために、診療報酬の改善を求めて、広範な医療関係者、国民とともに今後とも奮闘するものである。