「医師標欠の届出の取扱いの是正」を求め厚労省交渉

 

 東北ブロック各協会と北海道保険医会、新潟県保険医会は、「医師標欠の届出の取扱いの是正」を求め、1月21日に厚生労働省交渉を実施。これには、北海道保険医会出身の入宇田保団連病院有床診対策部長、東北ブロック各協会、新潟県保険医会、千葉協会、東京協会が参加した。

 この問題については、03年12月10日にも東北ブロックと保団連が実施したが、へき地などの医師不足対策について、総務省、文部科学省、厚生労働省が設置した「地域医療関係省庁連絡会議」が、1月にも論点整理をする予定であることや、次回診療報酬改定の直前である1月下旬に再度厚生労働省交渉を行い、要求を反映させることを目的に実施した。

 要求の概要は、@施設基準の点数項目の取下げを中止し、自主返還は絶対に求めないよう地方社会保険事務局を指導すること、A医師が80%以下でも看護要員が標準数を満たしていれば基本診療料・特掲診療料の施設基準の届出ができるようにすること、Bへき地、離島等所在病院は、「当分の間、必要医師数の計算にあたり、外来患者に対する必要医師数を除外すること」「市町村合併により特例措置の対象から外されることのないよう、人口5万人以下の要件を廃止すること、C入院時食事療養の届出要件に、医師の人員「標欠」の基準をリンクさせペナルティを課すことを廃止すること。

 要請に対して、医政局総務課の課長補佐は、「地域医療関係省庁連絡会議には、多くの意見をいただいている。論点整理は2月にずれ込む」と述べるとともに、「医療法で地域差を設けることは難しい」と述べた。これについて代表は、「へき地・離島では、地域医療の確保ができない。ぜひ、医師数算定での外来患者数の除外と人口5万人要件を廃止してほしい」と強く要望した。

 保険局医療課の事務官は、「人口5万人の要件については、自治体からも要請を受け、検討をしている」と述べるとともに、「厚生労働省は、自主返還を求めていない」と言明。

 代表は、今回の取扱いで公立病院を中心に地域医療の提供が困難になっている実態や、地方社会保険事務局によって対応が異なる実態を紹介。

 特に、標欠に該当した場合の入院時食事療養の取扱いについて、通知では「所要の改善を指導し、概ね9か月間を経ても、改善が求められない場合には、当該届出を無効とする。ただし、‥具体的な目処が認められるもの及び‥離島等所在保険医療機関のうち、医師又は看護要員の確保に関する具体的な計画が定められているものにあっては、この限りではない」となっているが、昨年から入院時食事療養の辞退をさせている県があることを明らかにし、「これらの県の対応は誤っているので、是正を指導してほしい」と要望。

 また、「告示・通知を出しなおすまでは、従来どおりの取扱いを認めることが必要。告示・通知を出しなおす場合は、医師が80%以下でも看護要員が標準を満たしていれば届出を認めるよう明記すべき」と強く要望した。