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2004年 3月14日

                              保団連歯科新点数検討会


実質マイナス改定に抗議し、「保険でよい歯科医療」実現めざす決議

  

 今日、歯科医療機関の経営だけでなく、歯科医療そのものが存亡の危機に追い込まれている。そのことは、中医協医療経済実態調査結果にも反映され、支払、公益委員ともに手当の必要性を認めている。

 しかし政府は、今次改定で全体として1%引き下げ、さらに金パラ価格を20%以上引き下げるなど、多くの歯科医療機関でマイナス改定をもたらし、前回のマイナス2.7%改定の補填もかなわず、さらに経営の悪化に拍車をかけるものである。我々は、このような改定に強く抗議する。

 改定内容をみても、ブリッジ支台歯と有床義歯修理の装着料など欠損補綴の技術料が「再評価」の名目で包括・引き下げられた。そこで浮いた財源で、かかりつけ歯科医初・再診料が引き上げられた。また従来「か初診」届出をしていれば算定できていた、初期う蝕小か裂溝填塞処置、う蝕歯即時充填形成の継続加算を「か初診」算定患者と限定した。これらの措置は、露骨な「か初診」への経済誘導政策以外の何ものでもない。

 その上、歯周疾患メインテナンス等が未だ十分に定着していない中で、新に歯科口腔継続管理がメインテナンス方式に拡大された。これは、口腔、歯牙、補綴物の維持管理の責任を患者と歯科医療機関に押し付けるものである。 

 さらに情報提供があらゆる診療行為で、個別に点数評価もせずに強制されている。患者への情報提供は必要であり、保団連はそのための個別の点数評価を要求している。過度の情報提供の強制は、治療への専念を困難にする。また、在宅歯科医療の面でも日本歯科学会の「歯科訪問診療における基本的考え方」を取り入れるなど、前回改定以上に在宅歯科医療が制限されかねない。

 また、義歯や歯冠修復の製作料に対する評価は依然不十分なままであり、困難を増している歯科技工士の労働環境、技工所の経営をさらに悪化させるものである。

 こうした中でも、歯髄覆罩の点数の引き上げや「医科に通院している患者」への歯科訪問診療の規制が削除されるなどわれわれの要求が一部反映され、また安心、安全な医療提供に欠かせない医科、歯科連携して行うための報酬がわずかであるが評価された。

 政府は、2006年の「抜本」改定で、今次改定を基礎にして、「か初診」を軸とする歯科医療供給体制確立に向けた点数改定と補綴の保険外し等の特定療養費制度の拡大を予定している。

 我々は、このような「抜本」改定を阻止し、患者・国民の切実な願いである「保険でよい歯科医療」実現のための歯科医療費の増額を要求するものである。

 以上、決議する。