医療機関は経営革新等支援機構等の利用による
優遇措置の対象事業か
益子良一・税理士
(『全国保険医新聞』2014年3月5日号)
『全国保険医新聞』3月5日号掲載の税理士の益子良一氏による「医療機関は経営革新等支援機構等の利用による優遇措置の対象事業か」という記事の全文を掲載する。
指定事業について、措置法10条の5の3第1項で「卸売業、小売業その他の政令で定める事業の用に供した場合」とし、措置法施行令5条の6の3第3項で「・・その他財務省令で定める事業」としており、措置法施行規則(財務省令)5条の10第2項では1号から18号で指定事業となる事業を掲げています。その財務省令では、18号「サ−ビス業」のかっこ書きで、「医療業」を指定事業から除外していることから「医療機関はこの制度の指定事業に該当しない」という考えが出てくると思われます。
しかし財務省令17号では、「社会保険・社会福祉・介護事業」は指定事業に該当するとしています。
日本標準産業分類(平成19年改定・総務省)大分類P−医療、福祉「総説」で、「社会保険・社会福祉・介護事業とは、公的年金、公的医療保険、公的介護保険、労働災害補償などの社会保険事業を行う事業所・・をいう」としています。
そこで、医療機関が社会保険による診療をしていれば「社会保険事業を行う事業所」として「経営革新等支援機関等」を利用する指定事業に該当するのではないかと考えます。
中小企業庁・財務課では「卸売業、小売業、サ−ビス業の個人事業者、中小法人等の皆様へ」というパンフを発行し、同パンフでは、「商業・サ−ビス業・農林水産業活性化税制」として、「適用の要件」について記載しており、「適用の要件」の中に「商業・サ−ビス業等とは以下の事業」として「・・社会保険・社会福祉・介護事業、・・」としています。同パンフ「減価償却資産の耐用年数等に関する省令別表第1の<器具及び備品>の抜粋に「医療機器」を掲載していることからも社会保険診療を行う医療機関は、「経営革新等支援機関等」を利用する指定事業に該当することを想定しているのではないかと思われます。
中小企業庁・財務課(03-3501-5803)に、社会保険診療を行う医療機関は「社会保険事業を行う事業所」として「経営革新等支援機関等」を利用する指定事業に該当するか電話で問い合わせたところ、中小企業庁としては「医療であっても社会保険事業があれば該当する。ただし業種の判断は税務署が行う」という回答で、社会保険診療を行う医療機関が「経営革新等支援機関等」を利用する指定事業に該当するか否かの判断を課税庁に委ねています。
以上私の見解を述べましたが、税務上のリスクを伴うことですので、現在の状況を踏まえ顧問税理士等とよく相談の上税務判断するようお願いいたします。
以上