医療・介護総合法案2…患者追い出し、市町村に事業押し付け
(「全国保険医新聞」2014年3月15日号)
安倍政権は、今国会に医療法と介護保険法改定などを一本化した「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する」法案(医療・介護総合法案)を提出した。国の医療・介護費用の抑制を目的とし、患者に負担増を強いるものだ。
地域の病床の削減
医療・介護総合法案の下では「機能分化」の名目で、地域の病床が削減される。
「病床機能報告制度」をつくり、病床を「高度急性期」、「急性期」、「回復期」、「慢性期」の4区分に再編。都道府県は必要な病床数などを盛り込んで「地域医療ビジョン」を作成し、必要病床数を医療機関と協議する。協議での合意事項に従わない場合には、医療機関名の公表などのペナルティが課せられる。病床数の削減に従わないことを理由に、ペナルティを受けるおそれがある。
厚労省は、2025年には病床全体で202万床が必要になると推計しながら、159万床に抑えることを計画している。病床43床が削減対象となる。また、入院期間を短縮し、入院患者数を、2025年に必要と見込まれる162万人(1日平均)から、130万人に抑え込もうとしている。しかし、これ以上の平均在院日数の短縮は、「治癒」割合も低下させ、患者の命の危険に直結する。
特養ホーム入所者の制限
特別養護老人ホームの新規入所者を要介護3以上に原則限定。要介護1・2の方は「特養以外での生活が著しく困難な場合」にのみ、特別に入所を認める。
要介護1・2に該当し、介護者が不在であったり、徘徊などの認知症の周辺症状を有する多くの人々の生活の場を奪うことになる。
訪問・通所介護を市町村に丸投げ
要支援者向けの訪問・通所介護を、費用の削減を目的に、市町村の事業に移行させる。自治体の財政難や人員確保の困難などから、サービス水準の低下と利用料の引き上げが懸念される。
3割を超える自治体が、訪問・通所介護の市町村の地域支援事業への移行について、「不可能」と回答している。
介護保険利用料2割に
この他、医療・介護総合法案には、次の内容が含まれている。
○医療
看護師に医療行為を委ねる制度の導入
外国人医師・歯科医師による診療の緩和
医療事故調査制度
○介護
利用料を1割から2割に引き上げ(所得160万円(年金収入280万円)以上の場合)
施設入所者の居住費、食費の補助を縮小(貯金1000万円(夫婦で2000万円)以上など)
以上