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シリーズ STOP!! 医療・介護総合法案@
命にかかわる病床削減

(「全国保険医新聞」2014年3月25日号)



医療・介護の総合的な確保を推進するとして、医療・介護総合法案が国会に提出された。団塊の世代が75歳以上となる2025年に向けて、医療・介護の公的費用を抑制・削減するのが狙いだ。国が目指す医療・介護改革について考える。第1回は入院医療。

 

診療報酬による病床削減
「入院から在宅へ」の下、病床数の削減、特に急性期病床を大幅に削減し、患者を在宅へ押し出していく。2025年には、国は病床全体で202万床が必要と推計するが、43万床減らして159万床に抑え込み、医療費を抑制する方針だ。
14年度の診療報酬改定では、高度急性期・急性期、亜急性期、長期療養の各病棟に自宅等への復帰率を算定要件・加算として導入し、退院促進をより強く打ち出した。更に、7対1看護配置の「急性期病床」は、対象患者に絞り込みをかけた上、DPC対応データの提出、平均在院日数の運用厳格化などハードルを上げて、現在の36万床から14〜15年度で当面9万床減らすとしている。
これまでも国は早期退院を促進してきたが、DPC病院では、平均在院日数が15・01日から13・43日へ短縮される中、退院時の「治癒」割合は8・72%から4・3%へ半減している(図)。入院期間の強引な短縮は、患者の命にかかわりかねない。

新医療計画で 再編・淘汰
診療報酬での誘導・ふるいわけに加えて、計画的手法により病床の再編・淘汰を進める仕組みを、医療・介護総合法案では打ち出した。
一般・療養病床について、医療機関の申告を通じて高度急性期、急性期、回復期、慢性期の4機能に区分する。都道府県は4機能ごとの「必要量」(上限値)等を示した「地域医療構想」を2次医療圏ごとに作成し、「医療計画」に盛り込む。医療機関には、医療機関名の公表、融資・補助金の不交付などムチを含め、さまざまな形で「構想」に従うよう働きかけていく。新設の「基金」=補助金というアメも用意している。
従来の医療計画に比べてムチが強化された上、これまでの一般・療養、精神など病床類別の上限数に、病期別の区分ごとの上限数を追加して、病床数の管理、再編・淘汰をより強力に図る狙いである。

患者負担増で 入院制限
医療費削減の即効策として、入院給食の原則自己負担化が狙われている。在宅医療の食事は患者が負担しているから、入院時の給付は「公平」ではないというものだ。全額自己負担で約5000億円の患者負担増である。一般病床・所得区分(一般)では、給付の半減で月1・8万円、全廃で月3・5万円の患者負担増となる。
入院給食給付は高額療養費の助成対象から外れており、負担増は患者を直撃する。難病医療費助成等に関する新法案でも、これまで助成対象であった入院給食が外されている。2015年の国会に法案提出をにらむ。

以上