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シリーズ  STOP!医療・介護総合法案B

難病助成のさらなる改善を

(「全国保険医新聞」2014年4月15日号)

 医療・介護の総合的な確保を推進するとして、医療・介護総合法案が国会に提出された。団塊の世代が75歳以上となる2025年に向けて、医療・介護への国・地方の出費を抑制・削減するのが狙いだ。第3回は合わせて提出された難病医療費助成法案について見る。

二転三転した見直し
 政府は2月12日、難病対策の法制化へ向け、患者負担のあり方などを含む法案を国会に提出した。社会保障と税の一体改革の一環として難病対策を法制化するものだ。
 2013年10月18日に国が示した当初案は、所得に応じて月8000円から4万4000円までの患者負担限度額とした。負担が重すぎると患者団体などより異論が続出し、2度の見直しを経ての法案提出となった。当初案と比べ、患者負担は軽減されたが、新たに重症者などにも負担を求めており、現行の認定者は大半が負担増となる。

対象疾患を大幅拡大
 医療費助成の対象となる疾患は、患者数が人口の0・1%程度以下、原因不明など4要素を満たした上で、一定の診断基準が確立している疾患とする。そのうち助成を受けられる患者は症状の程度が重症度分類等で一定程度以上の者(日常生活または社会生活に支障がある者)とされる。ただし、高額な医療を継続することで軽症を維持している患者も対象とする。
 患者負担については、一部負担割合を3割から2割に軽減した上で、自己負担の限度月額を、所得に応じて一般患者は2500円から3万円まで、高額な医療が長期に継続する患者は2500円から2万円までとする。人工呼吸器等を装着する超重症者は月1000円となる。
 今回の見直しにより、助成対象は、現在の56疾患(受給者数78万人)から約300疾患(同150万人)への拡大を見込む。新規の認定者の86%で負担軽減とされる。

低所得者、既認定者は負担増 
 他方、全ての患者に負担を求めるとし、自己負担なしの枠は廃止となる。
 現在は無料の住民税非課税(年収約160万円以下)は月2500円か5000円までの負担が発生する。同様に無料の重症認定者も、「高額かつ長期」に該当しても、収入に応じて月2500円から2万円までの負担増となる。重度のALS患者は、現行の重症認定なら負担はないが、超重症者として月1000円となる。
 現行の認定者は、見直しで86%が負担増となる。激変緩和として、既認定者は3年の経過措置を設ける。
 既認定者については、患者数が人口の0・1%程度以下等の対象疾患要件、これまで一部の疾患しかなかった重症度分類等を全ての疾患に導入することなどから、助成対象から外れる患者の発生も懸念されている。
 難病患者は雇用収入減に加え、治療は生涯に及ぶ。通院等の交通費、家族の付き添い、介護利用など医療外の負担も大きい。全ての難病患者が、治療と生活を両立できるようさらなる改善へ向けた法案審議が望まれる。

以上