4章 混合診療-医療の構造改革-










 2004年12月に厚生労働大臣と規制改革担当大臣の「混合診療に関する基本合意」が交わされました。この内容は多くの問題を含んでいます。



 この内容は、これまで安全性、有効性が確立した医療は保険診療に組み入れるとしてきた戦後日本の医療保険制度に、はじめて保険導入を前提としない医療を、基本システムとして組み込むことにほかなりません。
 大臣合意では、現行の枠内で可能なものは順次実施し、法整備の必要なものは2006年の通常国会に提出する法案で具体化するとしています。実質的な具体化を阻止するために、引き続き運動を強めることが求められています。










 日本の健康保険法は、必要な医療を保険で提供することを前提にしており、一連の医療行為の中で「保険診療」と「自由診療」を混在させる「混合診療」を禁止しています。もし、患者さんから一部負担金以外の徴収を認めれば、お金のあるなしで、受けられる医療に差がつきます。これを認めないことで、憲法で保障された基本的人権としての医療制度を実現しているのです。しかし、これには現在一部「例外」が存在します。



 この実態をさして「現在でも混合診療が行われている」との主張がありますが、これらは医療保険制度全体から見れば、あくまでも例外に過ぎません。問題は、このような「例外」がなぜ存在するかです。それは、そもそも政府が長年の低医療費政策で、保険診療給付の範囲拡大を怠ってきたからです。
 保険給付範囲の不十分さや制限の多さは、医療現場に多くの混乱をもたらし、しばしば患者さんの「医療不信」を招いたり、多くの医師や患者さんに失望を与える原因ともなってきました。