高齢者の高額医療費、1年経ても2割近くが未償還

……青森協会調査


 青森県保険医協会は、高齢者の高額医療費の償還状況等について、昨年末から調査を行い、04年1月末時点での結果を発表しました。それによると、制度がスタートした02年10月分の償還が、該当者13,680人に対し申請者が11,285人と、82.5%にとどまり、2割近くが未償還となっています。

 また今回は、減額認定証の発行状況についても調査。該当者数、申請者数の両方が判明している市町村でみると、該当者の56.5%にしか減額認定証は発行されていませんでした。該当者数を把握していない自治体も10市町村ありました。自民、公明与党は負担増を決める際「低所得者に配慮した」と繰り返しましたが、「配慮」は全く行き届いていないことが明らかになりました。

 また青森協会は、外来の負担上限への高額医療費制度の導入にあたり、各自治体が新たに払った経費についても調査し、合わせて厚労省に、国が支払ったシステム開発補助費についても調査を行っています。職員を増員したと答えたところが4市町村、システムの導入や独自開発を行ったとしたところが30市町村に上り、その額は判明している26市町村で7,284万円に上りました。

 一方、システム導入については、国がその予算3分の1を補助することとなっており、青森県では2,400万円が支出されていました(全国では9億9900万円)。補助は、初年度のみですでにうち切られていることから、補助を受けていない市町村もあると見られます。

 国だけで10億円近い予算を使い、高齢者には申請の負担、地方に人的物的負担をかけさせて、なおかつ、本来負担しなくて良いはずの負担を償還しきれないという、この制度の欠陥はいよいよ明らかになっています。

 青森協会は、未償還を残したまま時効を迎えることにならないように、自治体への働きかけを強めていくことにしています。