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非営利性守れるか課題
―「ホールディングカンパニー型法人」創設―

(全国保険医新聞2015年9月25日号より)

 

 「地域医療連携推進法人」の創設を盛り込んだ医療法改定案が9月16日、成立した。厚生労働委員会では付帯決議が全会一致で可決された。決議では、▽参加法人の意思を尊重する▽地域住民に対する必要な医療の確保▽新型法人の代表者は医師・歯科医師が原則▽医療の非営利性を損なわないようにする―などが明記された。
 地域医療連携推進法人(新型法人)の創設は、ホールディングカンパニー(持株会社)のようにグループ経営を行い、医療機関相互間の機能の分担、業務の連携を通じて、地域医療構想を達成することや、経営効率を向上することが狙い。
 新型法人は、非営利性の確保等の基準を満たす一般社団法人で、都道府県が認可、監督をする。新型法人の社員(参加法人)は、病院や介護施設その他の非営利法人に限定され、剰余金配当は禁止される。

株式会社へ出資も可能

 「地域医療連携推進法人」では、グループの「一体的運営」の名目で、病床数や診療科の再編・縮小、医師等の人員配置など地域の医療提供体制再編の役割を担わされ、医療費抑制につながらないよう注視が必要だ。新型法人では、参加法人の規模に応じて議決権に差を設けることもできることから、個々の参加法人の自立性が脅かされないようにする必要がある。さらに、医療の非営利性を脅かす点も懸念がある。新型法人の理事長は医師・歯科医師以外の者でもよいとされ、新型法人が介護事業や健康・予防等を行う株式会社に出資することが認められている。
 参議院の厚生労働委員会ではこうした懸念を反映し、附帯決議を全会一致で可決。附帯決議では、▽規模の大小に関わらず参加法人の意思が十分に尊重され、地域住民に必要な医療が確保されるよう留意すること▽新型法人の代表理事については、医師・歯科医師を選任することを原則とすること▽医師・歯科医師以外の者を代表理事とする場合でも、医療の非営利性を損なわないようにすること▽施行後5年で、地域の医療提供体制に過不足が生じていないか等について検討し、必要な措置を講じる―などが示された。

以上