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容態変化の対応困難に
―リフィル処方箋導入に反対声明―

(全国保険医新聞2015年10月5日号より)

 

 2015年の「規制改革実施計画」は、医療費が12年連続で過去最高額を更新していることや処方薬剤の残薬が少なくとも29億円分にのぼること等を受け、リフィル処方箋導入について年度内の検討・結論を求めているリフィル処方箋は、一定期間内に繰り返し利用可能な処方箋。医師が患者を診察した上でリフィル処方箋を交付。患者は2回目以降、薬局で体調確認、残薬確認などを行う。症状変化、副作用等の問題がないと判断されれば、同処方箋に定められた期間には医師の診察なしに薬局から直接処方を受けることが可能となる。

 保団連は9月13日の理事会で、「リフィル処方箋導入に反対する声明」を採択した。声明は、リフィル処方箋の使用は、医師の診察を事実上薬局に委ねる形となり、患者の健康を確保する上で極めて問題が多いとして反対を表明。同処方箋が想定する慢性疾患の患者は、医師の診察を通じた感染症・合併症の兆候や重篤疾患の初期症状など微細な容態変化への迅速な対処が不可欠である点を強調した。

 日医総研が10年12月に発表した、「長期処方についてのアンケート調査」(図)では、「5週以上の長期処方により患者の容態変化に気付くのが遅れた医師が2割」とされた調査結果も踏まえ、同処方箋の導入はこうした危険性をより深刻にすると警鐘を鳴らしている。

 声明ではまた、目下議論されている残薬解消、服薬の一元的管理は、丁寧な服薬指導の推進、薬局からの疑義照会の質量面の向上、一包化の推進など、医療機関と調剤薬局の連携強化こそ推進すべきと指摘。新たな制度として同処方箋の導入の必要性はないと反対している。

図 比較的長期の処方(5週以上)が原因と考えられる問題事例への遭遇

以上