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本体マイナスを阻止
―保団連 大幅プラス、患者負担軽減求める―

(全国保険医新聞2016年1月25日号より)

 

 2016年度の診療報酬改定は本体を0.49%引き上げる一方、薬価等を1.33%引き下げるほか、「外枠」の対応として薬価の市場拡大再算定を加えると全体では1.03%のマイナスだ。これに加えて大型門前薬局などの評価の適正化や湿布薬の処方枚数制限などを通じてさらなる引き下げが講じられる。全国保険医団体連合会の住江憲勇会長は12月24日談話を発表し、マイナス改定に抗議した。

診療報酬改定率

全体 ▲1.03%
本体 +0.49%
 (医科 +0.56%)
 (歯科 +0.61%)
 (調剤 +0.17%)
薬価 ▲1.22%
 ・別に市場拡大再算定による 薬価の見直し ▲0.19%
材料価格 ▲0.11%

医療界の取り組みで本体プラスへ

 保団連、保険医協会・医会が昨年10月から取り組んだ診療報酬の引き上げを求める会員署名(院長署名)は、2カ月あまりで1万筆以上が寄せられた。日本医師会や病院団体などからもプラス改定を求める声があがり、与野党の医系議員も診療報酬の引き上げを求めた。
 政府は昨年末、16年度予算案を閣議決定した。予算編成では「骨太の方針2015」に沿って、厚労省の概算要求段階で見込まれた社会保障費の伸び6700億円を1700億円圧縮し、5000億円程度に押さえ込むことが目指されていた。今回の診療報酬改定を通じて1400億円近くが捻出されており、政府はほぼ診療報酬改定だけで目標達成を狙ったことになる。
 昨年11月に財務省・財政制度等審議会が提出した予算編成に関する建議では診療報酬本体マイナスにも踏み込む提案をしていた。
 強いマイナス圧力の中でも、本体プラスを実現したことは医療界の取り組みの成果だといえる。

 

引き上げ幅小さい

 しかし本体の引き上げ幅は決して大きいとは言えない点に注意が必要だ。
10年12年の改定ではそれぞれ1.55%、1.379%の本体引き上げが行われた。今年度の本体引き上げ幅は半分にも満たない。医療機関の経営を改善し、300万人ともいわれる医療従事者の雇用を安定させるには十分とは言えない。
 また、14年度の改定に引き続き、薬価財源の本体振り替えが否定された。薬価の引き下げは医療機関の交渉による医薬品の市場実勢価格の低下の反映だ。経営努力によって引き下げられた薬価は本体財源に還元されるべきものだ。

 

医療費削減が狙い打ち

 保団連の住江会長は談話で、「骨太の方針2015」の掲げる社会保障費削減が16年度改定を「狙い撃ちした」と批判し、地域医療の再建と経済活性化に向けて大幅なプラス改定と患者窓口負担の軽減を求めた。

以上