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被災者本位に復興政策の転換を

全国保険医新聞2016年3月15日号より)

 

 東日本大震災から5年が経過したが、被災地の現状は復興には程遠い。被災者の中に医療費免除や賠償をめぐる分断も生じている。復興予算の地元負担や、原発被災者への賠償打ち切りの動きがあり、真の復興を求める取り組み強化が求められる。
 復興庁によれば、全国の東日本大震災の避難者数は、今年2月12日現在も17万4,471人(表)。長引く避難生活の中での先の見えない不安、狭い仮設住宅での生活、震災前に維持してきたコミュニティの崩壊などによる、心身の健康悪化が心配されている。震災関連死は2015年9月30日現在で3,407人となった。福島県の関連死は1,979人で、現在も1年間で200人近く増え続けている(図)。
 被災者間に生じている分断も問題だ。全国保険医団体連合会、保険医協会が求めてきた被災者医療費窓口負担の免除措置は今、加入する保険、居住地域、所得などにより免除の有無が異なる。原発事故の被災地では、居住地区で異なる賠償に住民が納得できないケースも。不公平感で生じる被災者相互のわだかまりが、精神的な不調の要因にもなっている。

被災地の負担や賠償打ち切りの動き

 こうした中政府は、今年4月以降を「復興・創生期間」と位置付けた。これまでゼロとされてきた復興事業の負担を被災自治体に一部負わせる。昨年6月には、福島県の避難指示解除準備区域、居住制限区域の避難指示を、17年3月までに解除する方針を閣議決定。これに連動し、東京電力による精神的賠償、営業損害賠償などの打ち切りが狙われている。
被災者の生活再建の責任を放棄し、福島原発事故の被害者を切り捨てる復興政策を、被災者本位の政策に転換させる取り組みが重要となっている。

▼協会が医療費窓口負担免除についてアンケート調査
▼被災各県の会長・理事長に聞く

以上