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麻しんジワジワと拡大
―問診時などに注意喚起を―

全国保険医新聞2016年9月15日号より)

 

 麻しん(はしか)が拡大している。必要なワクチンを公費で接種できる環境などを求めて「ワクチンパレード」を主催している小児科の細部千晴医師に、現状や医療機関での注意点などを寄せてもらった。

 昨年3月、日本がWHOから国内由来の感染が3年間発生していない“麻しん排除状態”と認定されたが、海外渡航者等による感染は続いている。
 今年は、7月末から関西空港(1日平均利用者数約6万人)の職員らの集団感染(30人超)が発生。8月14日の千葉県・幕張メッセのコンサート(約2万5,000人)や、26日の東京都・立川市のイベント(約200人)参加者からも罹患者が報告され、全国的な流行拡大が心配される。
 2015年中は35例と例年に比べて報告数が少なかったが、今年は8月31日現在で既に15都道府県(北海道、群馬、茨城、埼玉、東京、神奈川、千葉、静岡、愛知、三重、滋賀、大阪、兵庫、和歌山、福岡)から41例が報告されている。

 

医療機関の対策確認を

 国立感染症研究所では、8月25日付で「麻しんに関する緊急情報」を発表し、注意喚起を行っている(表)。特に小児科だけでなく、10代後半や成人患者の多くが最初に受診する可能性が高い「内科」「皮膚科」「救急外来」等でも、感染後の潜伏期間(約10〜12日)も考慮のうえ、対策を呼び掛けている。
 各医院で、従業員等のワクチン接種歴を確認するほか、自院での診断・治療等が困難な場合は、事前に地域で対応可能な医療機関を確認しておくなどの対策も有用だ。(東京保険医協会 細部 千晴)


麻しん拡大の防止に向けた注意喚起

【医療者への注意喚起】

発熱を訴える患者は、以下の3項目を受付の時点で確認し、必要に応じて他の患者と離れて待っていただくなどの対策も心がける
・MR(麻しん・風疹混合ワクチン)の接種歴
・最近の海外渡航・国内旅行歴
・最近麻しん発生が報告された「国際空港」「商業施設」等を訪れたことがないか

【患者への注意喚起】

麻しん含有ワクチンの接種歴がなく、咳、鼻水などの軽い風邪症状や目の充血に引き続き、発熱、発疹などの症状があり、特に海外や麻疹発生が報告された場所などを訪れていたなど強く麻疹が疑われる場合は、事前に申し出のうえ受診する

以上