イラクへの自衛隊派兵をただちに中止することを要求します

2004年1月25日  全国保険医団体連合会 第39回定期大会


 小泉内閣は、昨年12月9日のイラク派兵基本計画の閣議決定にもとづき、自衛隊の先遣部隊、航空自衛隊の本隊に続き、陸上自衛隊の本隊などを順次派兵しようとしています。

 いまイラクは、毎日のように襲撃事件が続き、多数の犠牲者を出し、米英軍も認めざるを得ないように「全土が戦場」です。このような中で自衛隊をイラクへ派兵するならば、小泉首相自身が言うように「殺し殺される」事態が現実のものとなります。

 憲法9条の下で戦後58年間にわたって日本の自衛隊が1人の外国人も殺さず、1人の戦死者も出さずに築いてきた日本の平和の意志が踏みにじられることは明らかです。

 米英軍によるイラク戦争は、国連中心の国際的な平和秩序のルールを踏みにじって強行され、その後の無法な軍事占領支配は、イラク国民の怒りと憎しみを増大させ、テロの土壌を広げ、事態をいっそう泥沼化させています。仏、独、露、中などの主要国は派兵せず、トルコも派兵を中止しました。

 こうしたもとで日本政府がおこなっているイラクへの自衛隊派兵は、大義なき無法なイラク戦争と米英軍などによる軍事占領を支持・支援するもので、米ブッシュ政権の要求に忠実に応えようとするものでしかありません。同時に、自衛隊を恒久的にいつでも参戦できるよう憲法9条を変え、国民を戦争に動員する「国づくり」へ大きく踏み出すものです。イラクの復興どころか、中東諸国からの信頼を損ない、新たな混乱とテロ攻撃を誘発し、イラク国民にさらに苦難を強いることになります。

 日本に求められるのは、イラクへの軍事占領ではなく、国連中心の枠組みで復興・人道支援をおこなうことです。憲法9条をもつ唯一の被爆国の政府として、そのための外交的役割を発揮すべきです。

 いまからでも遅くありません。武力の行使、威嚇を禁止した日本国憲法に違反して、他国民に銃口を向け、「殺し殺される」歴史的汚点を残す事態は、絶対に避けるべきです。

 われわれ、全国保険医団体連合会(保団連)は、人の命を守ることを何よりも大切にする医師・歯科医師10万人の組織です。これまでも、自衛隊のイラクへの派兵に対し、くりかえし反対の立場を表明してきましたが、あらためて、われわれは、イラクへの自衛隊派兵をただちに中止するよう重ねて強く要求します。