歴史の進歩に逆行する社会保障制度解体、国家改造を阻止し、「社会保障と平和を基盤とする国づくり」をめざそう

2004年1月25日  全国保険医団体連合会 第39回定期大会


 今日、わが国の社会保障の中核である現物給付フリーアクセスを保障する国民皆保険制度と、これを支える自由開業医制を柱とする医療制度が危機に瀕しています。すなわち、相次ぐ患者負担増による受診抑制、高すぎる保険料の未払い、保険外負担の拡大などのもとで、負担に耐えきれない国民を実質的に医療保険の外に追いやる皆保険制度の空洞化が進行しています。

 失業や不安定・非正規雇用の急増は、国民の著しい所得格差を生み出し空洞化に拍車をかけています。これに加えて、診療報酬引き下げと不合理な規制によって医療機関の経営悪化は顕著となり、安心、最善の医療をめざす医療担当者の努力にもかかわらず、医療の質の低下を強制されています。

 一方で政府、財界など「構造改革」勢力は、「少子・高齢化」と「グローバル化」に対応した経済社会実現の名の下に、多国籍企業を支援する「新たな国づくり」をめざしています。その柱は「大企業中心と戦争のできる国づくり」です。米国への追随を基調とし、改憲と社会保障制度の解体再編や海外派兵・軍備増強を軸に、小選挙区制と二大政党制化によって実現をめざす戦略です。

 この「国づくり」は、大多数の国民や中小企業に負担増を求め、国際的にも軍事的緊張を高めるなど、国内外ともに矛盾と対立を深めており、国際社会が進んでいる方向や、日本経済と国民生活基盤を再建し、国民が未来に展望のもてる「国づくり」とは対極のものです。

 社会保障とは、すべての国民が人間らしい水準の生活を営めるようにすることであり、市場原理とそれに基づく競争と淘汰から国民を守り、その生存を社会的に保障する制度です。日本国憲法は、その基本理念である国民主権、基本的人権に沿って、国民の生存権・健康権保障と国の責務を謳っています。

 我々は、7月の参議院選挙を重要な好機とし、日本国憲法と国連憲章の理念に立つ、「社会保障と平和を基盤とする国づくり」をめざし、次の項目について国民と連帯して共同の運動を巻き起こすものです。

一. 健保・国保の2割負担化、高齢者負担の軽減など患者負担を引き下げること。

二. 「保険で良い医療」が現物給付でおこなえるよう診療報酬の改善・引上げを行うこと。

三. 医療への市場原理導入を阻止し、国の責務と大企業の社会的責任で社会保障制度を充実、発展させること。

以上、決議します。