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患者負担増と診療報酬引き下げの政府予算案に抗議します

2005年12月27日
全国保険医団体連合会
副会長 住江憲勇

 政府は24日、高齢者の2〜3割負担などの患者負担増で900億円減、診療報酬の引き下げで2390億円減など総額で約3000億円の自然増を削減する社会保障予算案を決定しました。本会や各種のアンケートで国民が最も増額を望んでいる社会保障予算を切りつめたことに、まずもって強く抗議します。

 社会保障予算については今年8月の概算要求基準で、自然増を2200億円削減することを閣議決定しておきながら、自民・公明与党が総選挙で大勝するや、その削減幅を3000億円に拡大するなどは全くの暴挙です。しかも削減額拡大の理由は「小泉首相の新規国債額発行30兆円以内」とされていますが、国債の増発を招いたのはゼネコン等に大盤振る舞いされてきた建設国債・赤字国債の発行であり、社会保障予算では全くありません。削減されるべきは社会保障予算ではなく、ムダが指摘されている大型公共事業予算です。

 さらに許されないのは、介護施設の利用者から食費・居住費を全額徴収し、来年の10月からは医療療養病床の患者さんからも同費用を徴収する計画を進めながら、在日米軍の駐留にかかる居住費などを「思いやり予算(2330億円)」と称して政府が全額負担していることです。日本政府は、患者さんや高齢者には全く“思いやり”をかけず、米軍を“思いやる”国民無視の政府と言わざるを得ません。

 日本の社会保障費(対GDP比)は先進5カ国の中でも最低レベルです。日本の国力からすれば、ムダが指摘される公共事業費や防衛費を削減すれば、増税なしに社会保障を十分拡充できます。本会は今後とも、患者さん、国民の皆さんとともに、医療・社会保障の拡充をさらに求めていくものです。

以上