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2006年5月15日


厚生労働大臣
 川崎二郎殿

全国保険医団体連合会
会長 住江憲勇

福島県立大野病院の医療事故に関わる要望書



 貴職の日頃のご活躍に敬意を表します。

 さて、福島県大熊町の県立大野病院で2004年12月、帝王切開した女性が死亡した医療事故で、執刀した産婦人科医が業務上過失致死と医師法違反で逮捕、起訴された事件については、多くの医療関係者が、人権侵害ともいえる不当な逮捕に抗議する声明を発表しております。

 今回の医療事故は、マスコミでも報道されているように、深刻な産婦人科医不足や県立病院全体の医療安全体制の問題に深く根差しており、一産婦人科医の責任に矮小化することは許されません。また、逮捕の理由となった医師法違反についても、「異状死」の定義は、日本法医学会や各学会等で独自に定めるなど極めて不明確で、今回の医療事故による死亡が「異状死」かどうか医療界でも判断が分かれています。

 さらに、厚労省は、医師への聴取やカルテなどの提出、医療機関への立ち入りを任意から強制に切り替える医師法「改正」を強行しようとしていますが、行政処分の強化による医療事故の再発防止策は本末転倒と言わざるを得ません。

 医療事故の対応の基本は被害者救済と再発防止です。医療の質と安全性を確保し医療過誤事件における被害を速やかに救済するために、中立的な専門家等で構成される第三者機関の設立など下記事項の実現を要望致します。


1.医療事故を取り扱う公正中立な第三者機関を設置すること。

2.医療事故による死亡については、第三者機関に届け出る仕組みを整備すること。

3、被害者の迅速な救済のため、無過失補償制度の導入を検討すること。

4.産婦人科医、小児科医の過酷な労働条件を改善すること。

以上