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国は控訴せず、ただちに被爆者の立場にたった原爆症認定制度に改めるよう強く求めます

原爆症認定集団訴訟での広島地裁判決にあたって


2006年8月8日
全国保険医団体連合会
会長 住江 憲勇

 8月4日、広島地方裁判所は、原爆症認定集団訴訟の判決で、原告41名全員を原爆症と認め、国の定めている認定基準の不備に対し、改善策を講じるよう命じました。

 今回の判決は、全国15の地方裁判所ならびに大阪高等裁判所における原爆症認定集団訴訟のうち、被爆地における初めてのものであり、広島に原爆が投下された8月6日の直前、平和を祈念する世界中の人々が集まっているなかで言い渡された意義深いものです。

 判決理由の中で坂本倫城裁判長は、原爆症についてはなお未解明の部分が多いことを前提として、国が審査方針としている「原因確率」が「残留放射線による外部被爆及び内部被爆を十分には検討していないといった様々な限界や弱点がある」ことを指摘、「原因確率は一応の単なる判断の目安として扱い」、「審査の方針を機械的に適用すべきではなく、あくまでこれを放射線起因性の一つの傾向を示す、過去の一時点における一応の参考資料として評価するにとどめて、全体的、総合的に検討することが必要である」とし、原告全員を原爆症と認定しました。さらに被爆者援護立場にたち、入市、遠距離被爆者についても広く認定の対象することなど、現在の原爆症認定制度を根底から批判し、被爆の実態を見据えた新しい認定のあり方を示しました。

 高齢化した被爆者に、このあと何年も裁判を続ける時間はありません。すでに全国の原告183名のうち24名が亡くなられています。

 国は、本判決を真摯に受け止め、控訴することなく、ただちに被爆者の立場にたった原爆症認定制度に改めるよう強く求めます。