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衆議院憲法調査特別委員会委員 各位

国民投票法案を拙速な採決でなく、慎重な審議を要望します

2007年3月月11日
全国保険医団体連合会
会長 住江 憲勇

拝啓

国政の重責を担ってのご奮闘に敬意を表します。

マスコミ報道などによれば、自民党、公明党の両党は、国民投票法案について与党単独で修正して今国会に提出し、単独採決を視野に入れて今月中の衆議院通過をめざすとされています。安倍首相は、参院選で憲法「改正」を争点にすると明言し、5月3日までの同法案の成立をめざすと表明しています。

世論調査でも国民投票法案を今国会での成立を求める声は多数ではありません。また、国民は九条改憲を求めていません。法案の内容について民主党議員からさえも「『過半数』の意義、最低投票率制度や有料放送広告の規制などで、もう一度議論する必要がある」という声も上がっています。法案の内容に弁護士会や市民団体などからの疑問、批判も出されています。

そもそも憲法96条が憲法改正を国民投票に委ねているのは、国民主権の原理にもとづき、憲法改正に国民1人1人の意思を十分かつ正確に反映させようとするところにその趣旨があります。しかし、今回の法案は、この趣旨とかけ離れた内容となっています。

法案の内容では、@投票で国民の過半数の賛成という要件については、有権者の過半数ではなく、有効投票数の過半数という最も緩やかな基準を採用し、投票率の制限すら設けないこと、A公務員や教育者による運動を刑罰によって大幅に制限するなど、主権者である国民の民主的な議論を権力で抑圧すること、Bテレビ・ラジオ・新聞などの有料意見広告は、資金力のある改憲をめざす政党が大量のCMを使って国民の投票意思を歪める危険性があること、など重大な問題が含まれています。

当会はこれまでも、「私たちは歴史の教訓に学び、憲法の理念を体して平和を脅かす動きに反対」(開業医宣言)する立場から、今回の法案には反対の立場を表明してきました。

以上の点から、国会での同法案を拙速に成立させるのではなく、審議には十分な時間をかけ、さまざまな国民や専門家の意見を聞き、慎重な審議をされることを強く要望します。

敬具