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真の解決には、リハビリテーションの日数制限撤廃しかない

2007年3月15日
全国保険医団体連合会
会長 住江 憲勇


3月14日に開催した中医協総会において、リハビリテーションにかかる調査結果概要(速報)を踏まえて、リハビリテーションの見直しに関する点数改定が諮問され、付帯決議をつけた上で了承、4月1日から実施されることとなった。

2年ごとの診療報酬改定の途中で点数が見直されるのは極めて異例であり、患者と医療担当者が力をあわせて、大きな国民的な運動をつくりあげてきた結果である。

審議にあたって土田中医協会長は、「リハビリ医療では、現場は混乱し48万人の署名が厚労大臣に提出された。これらの事実を私は重く受け止め、改正については直ちに見直し、本日諮問答申にしたい」と改定見直しに対する強い決意を示した。土田会長の決意が今後のリハビリ医療に活かされることを期待したい。

しかし、残念ながらこの再改定案は、我々が指摘してきた問題をすべてクリアできる内容ではない。日数制限適用除外の「緩和」等では、切り捨てられる患者さんの数は少なくなるが、無くなりはしない。

改定は、@算定日数上限の除外対象を拡大する、A除外規定に該当しない場合であって別に厚労大臣が定める患者について、維持期リハビリテーションを新設する、B算定日数上限期間内の点数を逓減させ引き下げる、という内容である。

除外対象患者は拡大したものの、「障害児(者)リハビリテーション料の対象となる患者」と、「先天性又は進行性の神経・筋疾患」を除き、依然として、「改善が見込まれる場合」だけに限定されている。なぜ、「改善が見込まれる」場合だけに限定されなければならないのかなど、まだまだ多くの疑問や問題がある。

また、維持期リハビリテーションについては、介護保険が対応するまでの当分の間の措置として実施されるものであり、点数も非常に低い。

維持期リハビリテーションは、将来介護保険給付にするとの前提のようだが、リハビリテーションは医療そのものであり、これを介護保険で給付をすることそのものが誤りである。必要とする全ての患者に対して維持期のリハビリテーションを医療保険で適正な点数で保障すべきである。介護と医療の境界については,きちんと議論するところがない。早急に国の責任で議論する場を設置し,国民的な合意を得た上で決定するべきである。

なお、今回の改定は、「財政中立」のもとで実施されるものであり、逓減制の導入など、医療機関にとっては、大幅な減収になる可能性も高く、必要なリハビリテーションが確保されたとは言えない。厚生労働省は、「本件見直しは、全体として財政中立で行う」といっているが、その財政影響試算すら出していないのである。

なお、検証部会アンケートは、無作為抽出した2882施設中、855施設からの回答(回収率30.3%)であり、設計・内容、スケジュールともに不十分であり、ここで得られた結果は、氷山の一角である。

政府・与党・厚労省が、患者さんにとって必要なリハビリテーションは制限しないというのなら、まずは、リハビリテーションの日数制限を撤廃し、その医療を保障するために必要な財源を、閣議決定を行ってでも捻出するのが筋と考える。

以上のことから、当会では、必要なリハビリテーションを保障するために、一切の条件をつけず、リハビリ日数制限を撤廃することをあらためて強く要求するものである。