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中間報告を受け、療養病床入院料の緊急再改定等を求める

2007年3月28日
全国保険医団体連合会
会長 住江 憲勇


 3月28日に開催された中医協・診療報酬基本問題小委員会に、「慢性期入院医療の包括評価調査分科会」から「平成18年度慢性期入院医療の包括評価に関する調査の結果について(中間報告書)」が出された。

報告書では、「医療区分1に関して入院医療を必要としないという政策判断がなされ、診療報酬についてもコストに見合わない点数が設定されていることについては、当分科会として大きな疑問を呈さざるを得ない。また、医療区分の意味づけを行う際には、介護保険施設における医療の在り方についても十分に検討される必要がある」と断じている。

3月19日に開催された慢性期入院医療の包括評価調査分科会では、「医療区分1の点数がケア時間と比較して、あまりにも乖離(天本宏委員)」「分科会では、医療区分1は入院医療が必要ないとの視点はなかった。政治的判断について異議を申し立てるべき(大塚宣夫委員)」「当初は、医師のかかわる時間と医療処置が少ない患者を医療区分1としたのに、いつの間にか医療の必要なしと判断され、政策的な値付けがされたことは遺憾(椎名正樹委員)」との発言が相次いだ。

池上分科会長は「この分科会でのエビデンスが違う形で利用された。全会一致の意見として報告したい」と強調したが、このことは、厚生労働省が中医協での議論を歪曲して政治的に利用したことを公的に明らかにしたものと言える。

私達は、中医協審議をないがしろにした今回の診療報酬改定の手法に改めて抗議する。

報告書では、「今回の報告は調査結果の速報に基づくものであり、…引き続き検証を進めるべきである」としているが、療養病床をめぐっては、@医療区分1の点数が、医療提供の諸経費を保障できないほど低い、A医療区分1で70歳以上の患者の食費・居住費の患者負担が大幅に拡大される、などの施策によって、入院が必要な患者が継続して入院できない事態が広がっている。

しかも、3月7日に厚生労働省老健局が発表した都道府県における「療養病床アンケート調査」では、日中・夜間とも介護できる人がいないとの回答が、「医療療養病床(54.3%)」「介護療養病床(61.4%)」にものぼっていた。

次回改定まで待つことは、到底出来ない。こうした状況を改善し、必要な医療と介護を保障するために、財源を確保して下記の施策を緊急に実施するよう、強く要望する。

@ 医療区分1の患者への入院医療確保のため、医療区分1の診療報酬を少なくとも入院基本料C相当に引き上げること。

A 医療区分2・3の対象を拡大すること。

B 施設や在宅の基盤整備を早急に行い、費用の心配なく必要な医療・介護・福祉が公的に受けられるようにし、それまでの間、「介護療養病床全廃」計画を凍結すること。