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差別医療を拡大し、高齢者の人権を侵害する高齢者医療制度の抜本的是正を 

−保団連の基本的な考え方と提言−


2007年6月3日
全国保険医団体連合会

                    

1.はじめに

日本の医療制度を世界一の医療制度に押し上げた力の源ともいえる国民皆保険は、憲法25条の理念のもと、国の責任で、強制的に全国民が保険に加入するということであり、必要なサービスがまず患者に具体的に提供されるという「出来高払いによる現物給付」と「フリーアクセス」「自由開業制」、「営利を目的としない」、能力に応じて保険料を負担する「応能負担」などの諸原則から成り立っています。

しかし、「構造改革」路線の進展に伴い、「命と健康は平等」という医療保障理念が後退させられる一方で、“負担なければ給付なし”という考え方が強化されてきました。2006年6月に成立した医療改革法は、皆保険医療の形がい化と、国民負担増を大幅に強めるものです。

「医療費適正化」を目的にした対策を法律で規定し、かつ、その実施、具体化を都道府県、医療機関、国民に迫る法的根拠を定めたことは、国の国民の生命と健康の保障に対する責任を大きく後退させる一方で、国民の“自己責任”を強調し、地方自治体を競わせ、地域間の健康・医療格差の拡大・固定化を助長することになります。


2.高齢者医療制度に対する基本的な考え方

  高齢者は、「多年にわたり社会の進展に寄与してきた者として、かつ、豊富な知識と経験を有する者として敬愛されるとともに、生きがいを持てる健全で安らかな生活を保障される」という老人福祉法の基本的理念に基づき、国と地方自治体の責務、企業の社会的責任が明確な医療保障制度として発展させる視点が重要です。

しかし実際は、80年代以降「高齢社会危機論」を振りまきながら、老齢年金を削り、高齢者の負担を増やし、差別医療の診療報酬を導入し、医療費を抑制してきました。

さらに、厚生労働省は、@制度運営の責任主体が不明確、A医療費適正化の動機付けが働きにくい、B現役世代の老人医療に対する負担が見えにくい、などの理由から、高齢者医療確保法で、高齢者を前期(原則65歳から74歳)と後期(原則75歳以上)に大別し、「前期高齢者に係わる保険者間の費用負担の調整、後期高齢者に対する適切な医療給付等を行うために必要な制度」を創設しました。国と大企業の負担を軽減し、現役世代と高齢世代間の対立を誘導していく方向性が色濃く示されており、高齢者への適正な医療を確保する立場より「財政優先の立場」が明瞭です。

高齢者医療を改善するための追加財源はほとんどなく、実際には負担割合が減っていく公費負担と、現役世代が負担する「支援金=特定保険料」、そして、亡くなるまで高齢者本人から保険料を取り続け、「心身の特性にみあった給付」の名の下に、差別医療を提供するにとどめ、保険料を支払うことのできない場合のペナルティーは現役世代並みという過酷な制度です。とりわけ、人頭払い制導入の議論をあおりながら、疾病単位の定額制を導入することや、『医療から介護へ』の移行を基本にした終末期医療の見直しは、健康保険法で定められた療養の給付=現物給付の原則を根底から崩すことにつながります。こうした世界に類を見ない、高齢者の人権を侵害する高齢者医療制度は、このまま実施することは認めることはできません。

3.高齢者確保法に基づく高齢者医療制度の問題点

(1)高齢者、国民の負担について

第1の問題点

すべての後期高齢者に保険料負担が発生することです。厚生労働省が示した事例では、厚生年金208万円の受給者で月6,200円、年間74,400円の負担増です。被用者保険の扶養家族で今は負担ゼロの人(約200万人)にも新たに保険料負担が発生します。

年金月額15,000円(年額18万円)以上ならば、受け取る年金から保険料が天引き(特別徴収)されます。前期高齢者も国保の加入者は、後期高齢者と同様に年金から天引きされます(前期高齢者が世帯主の世帯の約6割が該当)。

高齢者の生活を保障すべき年金から保険料を一律に天引きすることは、生計費非課税原則に抵触するものです。保険料徴収は、住民一人ひとりの生活や心身の状態を踏まえ、支払えない人たちの相談には親身になって応じる体制を確立して実施されるべきです。特別徴収は、支払い困難層の相談機会すら奪い、住民の生活困難を顕在化させる危険なシステムです。

 また、現役でサラリーマンとして働いている人が75歳になれば高齢者医療制度に移らなければならず、雇用主(企業)負担のない保険料を支払うことになります。その扶養家族で75歳未満の人は、新たに別な健康保険に加入しなければならず、保険料が丸まる負担増となります。国の責任と財政負担のもとで、保険料減免規定を設けることが必要です。

第2の問題点

保険料自動引き上げの仕組みが入ったことです。後期高齢者が増え、また医療給付費が増えれば、「保険料値上げ」か「医療給付内容の劣悪化」か、というどちらをとっても高齢者は「痛み」しか選択できない、あるいはその両方を促進する仕組みになっています。

2年ごとに保険料の見直しが義務付けられ、保険でまかなう医療費の総額をベースにして、その10%は保険料を財源にする仕組みとなっています。さらに後期高齢者の人数が増えるのに応じてこの負担割合も引きあがる仕組みです。2015年度では財源の10.8%が保険料になります。

これらのことが受診抑制につながることにもなり、高齢者のいのちと健康に重大な影響をもたらすことが懸念されます。重症化がすすめばますます医療費が増大するという悪循環への道です。

第3の問題点

保険料を滞納すれば「保険証」から「資格証明書」に切り替えられ、「保険証」を取り上げることです。特別な事情なしに納付期限から1年6カ月間保険料を滞納すれば、保険給付の一時差し止めの制裁措置もあります。

 少なくない後期高齢者が、年々高くなる保険料を、介護保険料とあわせて支払うことに耐えきれず、生活困難におちいったり、滞納するなどの事態が生まれることが予想されます。

高齢者に「適切な医療給付」をおこなうという法の趣旨からも、少なくとも実質的な無保険者を生み出す「資格証明書」の発行はやめるべきです。

 第4の問題点

「現役並み所得者」に区分された高齢者は公費負担の対象から除かれることです。公費で負担すべき5割の水準を実際には下回ります。厚生労働省の試算では、制度発足時の実質的な公費負担率は46%で、その分「支援金」の負担率が44%に増加します。今後、団塊世代といわれている人々の高齢化が進めば、「現役並み所得者」に区分される高齢者も増加することが予測されます。実質的な公費負担割合がさらに低くなります。

第5の問題点

現役世代には「支援金=特定保険料」の負担が新たに生じることです。老人保健制度の「老人医療費拠出金」は、各保険者に加入している高齢者が少なければ、給付する医療費は少なくてすむため、その分「拠出金」を多く負担するという制度でした。したがって、加入している高齢者が多い国保に比べて、高齢者が少ない健康保険組合は「拠出金」を多く負担していました。この制度を大変嫌っていたのが大企業とその健康保険組合です。

新しい制度財源の一つである、被用者保険や国保など保険者が負担する「支援金」は、「拠出金」とは大きく異なり、加入している高齢者だけではなく、赤ん坊までを対象として、各保険者の加入者総数に基づいて割り当てられます。

そして各保険者は、サラリーマンなどの加入者(介護保険第二号被保険者が対象)から徴収する保険料を充てることになります。保険料は、基本保険料と特定保険料に区分され、基本保険料は医療保険からの保険給付費と特定健診等の保健事業に充てられ、特定保険料は、後期高齢者医療保険への「支援金」だけでなく、前期高齢者医療への「納付金」、療養病床の廃止・削減に伴う「病床転換支援金」等に充てられます。

つまり、現役世代のサラリーマン(被用者保険に加入)や住民(国保に加入)が、特定保険料を通じて、政府が進めている医療「構造改革」政策を財政面で担わされる形です。

厚生労働省は、被用者保険と国保の加入者数が減少した割合の2分の1の割合で、後期高齢者の保険料率を引き上げるとともに、支援金を拠出する割合が引き下がる仕組みを導入したので、支援金は4割を上限に除々に減少していくと説明しています。

しかし、公費負担の対象から「現役並み所得者」が除かれ、さらに、高齢者の医療給付費が増加し、その財源に充てる支援金や納付金が増えていけば、支援金の総額は増えていくことになります。

(2)医療保険制度・診療報酬体系について

第1の問題点

高齢者に適切な医療給付をおこなうべきですが、75歳という暦年齢だけで判断して区分しており、個人差、性差、地域差などは考慮されていません。暦年齢よりも実際は元気な人、逆にそれ以上に衰弱している人など個人により様々で、一律暦年齢だけで区切るには無理があり、科学的根拠に乏しいといえます。

第2の問題点

健康の保持増進が努力規定にされたことです。老人保健法の第1条の「目的」に明記されていた「健康の保持」の文言が削られ、代わりに、「医療費の適正化」の文言が加わりました。厚生労働省は、後期高齢者の「健康の保持増進のために必要な事業(保健事業)を行うよう努めなければならない」としていますが、そうであればこそ、努力規定ではなく、法律の目的に健康の保持増進を明文化し、厚生労働省の責任を明記して、実施すべきです。

 

第3の問題点

朝日新聞(06年12月29日)によれば、「患者は高血圧や心臓病など、特定の慢性疾患の医療機関をあらかじめ選ぶ。そこで一定回数以上受診すると、それ以上は何回受診しても医療機関が受け取る報酬は定額とする方法などが検討される見込み」と報じています。また、日経新聞(07年1月9日)では、後期高齢者を中心に、「報酬の算定単位を入院1回当たりに切り替え、入院がどれだけ長引いても医療費は病気ごとの定額とする新制度を導入したい考え」との報道が行われています。日本経団連は2月20日に発表した「提言」の中で、「1入院定額制」の導入を打ち出しました。また、「かかりつけ医」に予め登録された高齢者の人数に応じて、1ヵ月当たりの金額を支払う人頭払い制の導入が国保中央会、日本経団連などから提案されています。

「後期高齢者にふさわしい医療の体系」の名目で、疾病単位や患者さん単位の定額制として、医療行為や医療材料をまとめて包括化した診療報酬を導入することになれば、個々の患者の病態に応じて、必要な治療を何回行っても、同じ報酬ということです。診療の難易度にかかわらず支払われる報酬は同じなため、積極的に治療すればするほど医療機関の持ち出しとなり、反対にほとんど治療をしなければ報酬が高いことになります。このような報酬のあり方は、医療をゆがめるものです。包括定額制は、健康活動など、医師の保健予防活動ではありえても、治療の現場では百害あって一利なしです。とりわけ、歯科の診療行為では、「歯冠修復及び欠損補綴」が55.9%を占めている特徴からも、個々の技術を適正評価した「出来高払い制」が適しています。

また、入院1回あたり定額制を導入することは、1ヵ月入院しても半年入院しても診療報酬は同じとなり、粗診粗療だけでなく、受け皿がないまま患者が退院を強要され、必要な医療が受けられなくなる可能性があります。

皆保険医療を保障する診療報酬を包括定額化し、受けられる医療に制限を加えるなど、高齢者の医療内容の劣悪化と差別医療を拡大させる恐れがあります。

第4の問題点

後期高齢者(原則75歳以上、65歳〜74歳で障害認定1〜3級を受けた人も対象、一方で、生活保護世帯に属する人は対象外)を対象とした医療制度は、各都道府県に設立された後期高齢者医療広域連合(地方自治法上の公共団体の組合)が運営にあたります。

男性と女性では平均寿命に大きな違いがあり、後期期高齢者医療広域連合の加入者は女性が中心と考えられます。平均寿命には地域差があり、平均寿命の長い広域連合の保険負担は増加し、逆に短い広域連合の負担は低くなることが予想されます。平均寿命が長い広域連合には、結果としてペナルティーが与えられるという本末顛倒な結果を招きかねません。

第5の問題点

 前期高齢者については、被用者保険や国保といったこれまで加入していた保険制度に引き続き加入します。

各保険者の間で前期高齢者の加入者数に応じた財政支援=「医療費に係わる財政調整制度」を創設しておこないます。前期高齢者は全国平均で74歳以下の加入者数の約12%を占めていますので、この割合より少ない保険者は、全国平均程度の前期高齢者が加入していたと仮定して、「調整金」の形で財政負担する仕組みです。老人保健制度拠出金の仕組みに近いものですが、やはり安定した財源としての公費負担を増やすことが必要です。

  

(3)医療提供体制について

厚生労働省は、高齢者医療費の抑制のために、高齢者があらかじめ登録した「かかりつけ医(在宅主治医、総合医なども提案されている)」をコーディネーターに、他の医療機関や介護保険事業所からのサービスが高齢者に提供されるような地域ごとの医療連携体制を構想しています。

後期高齢者に対して、登録「かかりつけ医」以外の医療機関への受診を制限することは、患者が医療機関を選択する権利が奪われることにほかなりません。国民皆保険制度の要諦である、「フリーアクセス」を制限するものです。

とりわけ、医科、歯科や診療科ごとに患者さんへの影響は異なりますが、厚生労働省の調査でも、1ヵ月間に医療機関にかかった後期高齢者の割合は85.5%(うち医科外来80.1%、歯科11.3%)にのぼります。フリーアクセスを制限することは重症化や命にもかかわる問題です。75歳以上の国民にだけ、アクセス制限を設けるのは、国による強制的な年齢差別です。また、登録した「かかりつけ医」への受診回数にすら一定の制限を設けることも懸念されています。

こうした登録「かかりつけ医」構想は、イギリスのNHSやアメリカのメディケアのシステムに近い内容です。わが国では、「かかりつけ歯科医」が2004年の診療報酬改定で「初診料」に導入されましたが、患者と医療従事者に受け入れられなかったため、2006年改定では廃止されました。

厚生労働省は、都道府県内の「地域(二次医療圏域程度)」ごとの「医療連携体制」をつくるとしていますが、その「地域」における後期高齢者の人数を確定することで、その数を反映した登録「かかりつけ医」数を定めるなど、登録「かかりつけ医」の総枠を定めることになれば、そこから除外される医療機関がうまれることになり、自由開業制に対する規制がかかる恐れがあります。

また、登録「かかりつけ医」にかかわって、厚生労働省では、「後期高齢者を総合的に診

る医師」の構想を示していますが、内科系以外の医師は該当しないものと思われます。しかし、住民の医療ニーズに応えるには、日常生活圏での主治医と、専門的な分野を診る医師の両者に、「フリーアクセス」できることが必要です。

国の責任は放置したまま、開業医に対してハードルが高い『24時間体制』を押し付ける医療体制は、地域医療の崩壊を助長するものです。全国の「地域」で、予防、外来、入院から、在宅医療、在宅終末期医療に至るまでの医療連携=『顔と技量が互いに見える連携づくり』の担い手として、介護・福祉との連携を含め、地域で住民の『主治医』機能を強化していくことが優先すべき課題ではないでしょうか。

(4)終末期医療のあり方について

終末期医療・看取りのあり方が、医療費抑制の観点から決められようとしています。

厚生労働省は、病院での終末期医療・看取りを減少させて、自宅や“居宅”での看取りを増やすことで、高齢者医療費を抑制しようとしています。

厚生労働省は、入院を抑制し、在宅医療や介護サービスでの終末期医療・看取りを拡大する構想ですが、地域の実態は、病院から“出された”患者を受け止めることができる状況にはなく、まともな介護サービスも受けられず不満がうずまいています。行き場を失う高齢の入院患者が大量に生まれ、家庭や地域の中で孤立する事態になりかねません。人権侵害を引き起こしかねない危険性を孕んでいます。個々のケースにより、入院が必要な場合、在宅がよい場合があり、病院でも在宅でも、どちらでも対応できるようにすべきです。

厚生労働省が医療と介護の「一体的なサービス提供」を打ち出し、診療報酬と介護報酬を『融合』させた報酬体系の導入が議論されていることは重大な問題です。このことは、医療で提供すべき内容にもかかわらず介護保険に移し、医療保険だけでは治療が完結できないという事態を生み出すことになりかねません。国保中央会の「提言」では、患者が介護保険に移行後も、それまでの主治医が関与することを提案しています。こうした『医療から介護へ』の流れは、健康保険法で定められた療養の給付=現物給付の原則を根底から崩すことにつながります。

終末期医療の現場では、患者本人の治療継続に困難な状況が生じ、継続・中止の是非を含め家族、医療従事者には、苦渋の決断を強いる場面も生じています。

「終末期」の範囲を広げ、その保険給付を制限し、医療費を削減することには反対です。尊厳ある死のために終末期医療はどうあるべきか、患者、国民の要望を踏まえた実践を通じて、終末期医療・看取りのあり方を探求すべきです。


4.高齢者医療制度のあり方についての提言

保団連は、『医療制度改革提言2005』『医療保険再建プラン』で、高齢者医療制度のあり方について次のよう提言しています。

 第1−「独立した高齢者医療制度」を創設する必要はありません。

国と保険者の責任で財源を出し合う老人保健拠出金制度の仕組み自体は合理的な制度です。高齢者に対する安定した財源としての公費負担割合を高めることによって、財政負担の問題が解決すれば、老人保健制度の再建は可能です。したがって、「独立した高齢者医療制度」を創設する必要はないということです。

 老人保健制度の再建をしつつ、次の段階では、高齢者を突き抜け型の医療保険加入に切り替え、国保への高齢者の流入をとめることによって、各保険者間の財政力の格差を縮めます。

財政力に格差がある間は、保険者間で財政調整を行い、国保への国庫補助の重点投入も継続します。

 第2−公費負担の拡大によって制度財源を安定させます。

老人保健拠出金制度にもどすとともに、当面、公費負担を保険給付費に対する3割から総医療費に対する5割に引き上げることによって、制度財源を安定させます。

第3−対象年齢は70歳以上とし、患者負担は軽減します。

高齢者医療は、対象年齢を70歳以上にもどします。窓口負担は、1995年前後の総医療費に占める水準(5%程度)にもどします。

その負担方式は、外来では1割定率・月額上限制(1000円程度)とし、定額負担(1回500円・月2回まで)の選択も可能とします。入院では1日700円とします。また、「現役並み所得者」に対する3割負担は廃止します。

第4−保険料は応能負担を強めて設定します。

保険料は応能負担の原則を徹底し、一定以上所得者の報酬上限は撤廃します。あわせて、一定以下所得者に対する保険料は免除します。

各広域連合の医療給付費の実績の高低を反映した地域別保険料は導入すべきではありません。

第5−暦年齢や地域間による診療報酬格差は設けるべきではありません。

診療報酬は、暦年齢による格差を設けず一般点数と同じとすべきです。必要な医療は公的医療保険・診療報酬で保障され、フリーアクセスを制限しないことが原則です。

すべての医療行為や管理業務、薬剤・材料などについて、個別に点数を設定し、「技術」「運営・管理コスト」「材料・薬剤」の各部門に配置し、実施した医療行為にかかわる費用を正当に保障すべきです。2つ以上の部門にまたがる包括・定額点数や、月をまたいでの包括・定額点数は設けるべきではありません。

また、都道府県単位の特例診療報酬(点数表や1点単価の特例)の設定による地域格差は認められません。

第6−高齢者が安心して療養できる提供体制を整備すべきです。

「自宅や“居宅”で医療や介護の提供が受けられる体制を基本とする」ことから脱却し、高齢者が安心して療養できる施設の確保と在宅、“居宅”環境の整備を行います。

患者の医療機関選択の権利を奪う、登録「かかりつけ医」の導入はやめるべきです。

第7−終末期医療のあり方は患者、国民の要望を踏まえるべきです。

「終末期」の範囲を広げ、その保険給付を制限し、医療費を削減することには反対です。尊厳ある死のために終末期医療はどうあるべきか、患者、国民の要望を踏まえた実践を通じて、終末期医療のあり方を探求すべきです。

 第8−地域の高齢者、住民の全人的医療をめざし『主治医』機能を強化すべきです。

 地域の高齢者や住民の全人的医療をめざし、患者を中心に地域の医療連携を確立して住民の『主治医』機能を強化すべきです。