ホーム


2007年6月12日
内閣総理大臣 安倍晋三 殿
防衛大臣   久間章生 殿

自衛隊による国民監視行動に抗議します


全国保険医団体連合会
会 長  住江 憲勇

 6月6日、陸上自衛隊の情報保全隊が大規模な国民監視活動をおこなっていた実態が内部文書によって明らかにされました。

その内部文書によれば、自衛隊がおこなった監視行動は、イラクへの自衛隊派遣反対や憲法改悪反対などの平和運動だけではなく、地域の医療団体などがおこなった「医療費負担増の凍結・見直し」の街頭署名宣伝などの医療改悪反対や、消費税増税反対など、国民の切実な要求にもとづく市民運動も含まれている。また労働組合による春闘のとりくみや市民団体やジャーナリストも名指しされ、監視された行動に参加した市民らの写真も撮影されています。

これらは、憲法に保障された思想・信条・言論・表現の自由にもとづく国民の正当な市民的活動を敵視する違憲・違法な活動であると言えます。警察がおこなう犯罪の取締りでさえ、刑事訴訟法などで制限されており、自衛隊は国民を取り締まる任務を持っておらず、一般国民を調査することは違法行為であり許されることではありません。

自衛隊がこのような活動を行なうことは、権力で国民を威嚇し、自由にものが言えない、監視・抑圧の社会をつくることにつながるものです。それは戦前の日本軍の憲兵隊が、武力によって国民を弾圧し抑圧した社会を想起させるものであり、断じて容認できるものではありません。

 これらの事実が明らかにされたにもかかわらず、久間防衛大臣は7日の国会でこれらの事実を認めたものの自衛隊の監視行動を当然視する開き直りの答弁を行ないました。

 政府と防衛省が、国民の立場にたち、今回明らかになった国民監視活動の実態の全容を明らかにするとともに、ただちにこうした活動を中止することを強く要求するものです。

私たちは、「歴史の教訓に学び、憲法の理念を体して平和を脅かす動きに反対」(「開業医宣言」1989年保団連第27回総会で採択)」する立場から、命と健康、平和と民主主義を守るため、ひきつづき多くの国民と共同した運動をすすめる決意を表明します。