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厚生労働大臣 柳澤 伯夫 様

介護保険制度における事業者手数料廃止を求める要望書

2007年6月12日
全国保険医団体連合会地域医療対策部会
部長 中島幸裕

 前略

 厚生労働行政に対する貴台のご尽力に敬意を評します。

さて、介護保険の事業所情報につきまして、有料で情報公開が行われており、その費用があまりにも高額なため、厚生労働省から是正通知が出され、各県において手数料の見直しを行っております。

こうした矢先に、介護保険事業所の更新制が今年度から始まるのを契機に、いくつかの都道府県で、介護保険事業者の指定及び更新に当って手数料を徴収する動きが広がっていることが判明しました。

具体的には、在宅系は、指定時に1万5千円〜2万円、更新時に7千5百円〜1万1千円が介護サービス種類ごとに徴収され、施設系については、指定時1万8千円〜6万3千円で、更新時に9千円〜3万3千円がかかっております。

しかも、この費用は、指定時・および更新時に発生することから、1円の収入がなくても徴収され、指定が不受理の場合も徴収が行われております。

 この問題を報道した6月1日付「シルバー新報」では、「地方自治法上は、『地方公共団体は、事務で特定の者のためにするものにつき、手数料を徴収することができる』」ことを根拠に徴収していると書かれています。

しかし、介護保険制度は、公的保険制度として実施しているものであり、医療保険と違って現物給付の原則は明文化されていないものの、概念的には、本来は国や地方自治体が実施すべき介護サービスを、一定の基準を満たした事業者に委託させているものです。

本来国や自治体が行うべきこうした事業を委託するにあたって、事務手数料の発生根拠はなく、事務手数料を徴収すべきではないと考えます。

また、事務手数料を徴収することは、介護保険事業者の経営を困難にし、介護保険事業からの撤退を余儀なくされる場合もあります。また、指定・更新費用が経常的にかかることになれば、介護報酬の中からその費用を支払うことになるため、増大する事務費用を介護報酬で補填していかなくてはなりません。それは、保険料を引き上げることになり、ひいては、市区町村の保険料引き上げにつながっていきます。

つまり、都道府県が行っているこれらの行為は、都道府県が、事業者と利用者及び市区町村の乏しい財布からお金を巻き上げる行為に等しいものです。

これは、情報開示手数料についても、同様です。

なお、更新制度の導入は、事業者にも負担がかかるものであると同時に、更新を受ける都道府県の負担がかかることでもあります。介護保険制度の運用にあたっては、介護報酬の審査が行われ、指導や監査制度もあります。こうした中での更新制度は、果たして本当に必要かどうか、改めて問い直す必要もあります。

こうしたことから、以下の点を要請します。



1.介護保険事業者の指定・更新に関する手数料を廃止するよう、都道府県を指導すること。

2.介護サービス情報の公表に関する事務(調査を含む)についても、都道府県が都道府県民のために行うべき事務であり、その費用負担を事業者に転嫁する手数料を廃止すること。特に、医療系サービスについては手数料規定を即刻廃止すること。

以上