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これでは医師不足は解消しない--2008年度政府予算案決定について

2008年1月10日
全国保険医団体連合会
女性部長 板井 八重子

 

 この間の医師不足対策の必要性を訴える世論を受けて、厚労省は08年度予算要求の中に、「医師確保対策の推進」を掲げ、新規に「病院勤務医の勤務環境の整備等」と併せて、「女性医師の復職研修支援の推進」にも5.2億円の予算を計上した。20代では3割を占める女性医師が、出産・育児を期に医療現場から離れざるを得ない現状がある中で、厚労省が復職研修支援へ予算を概算要求したことは評価したい。
  しかしながら、財務省は厚労省との予算折衝で「女性医師の復職研修支援の推進」事業への予算金額を5.2億円から3.9億円に削減した。
  日進月歩の医療現場から、一度離職すると、復職にあたっては現場での研修が欠かせない。受け入れる側の医療機関においても、医師数に余裕はなく、経営が苦しい中、何とか女性医師に続けてもらおうと苦労している。
  産婦人科をめざす研修医の約7割が女性。経験年数2年目では、お産を扱う約6割が女性医師である。現在、産科医不足が問題となっているが、実際に、お産の現場では、女性医師が主要な存在となっているのである。
  女性医師支援が、即、医師不足の解消につながるわけではないが、医師不足を食い止める手立ての一つにはなる。
  全都道府県に相談窓口を設け、研修先の病院などへ補助を出すという「復職研修支援」事業の目的に照らすならば、5.2億円では各県1,000万円程度の予算にしかならないが、少なくとも、厚労省が要求した予算額にもどすことを求めるものである。