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高齢者への医療を制限する後期高齢者診療料と終末期相談支援料の撤廃を要求する

2008年4月20日
全国保険医団体連合会
08-09年度第3回理事会

 4月1日より実施された「後期高齢者医療制度」をめぐっては、「説明もなく年金から保険料が天引きされた」「これまでの国保料より負担増となっている」「保険証が届かない」など全国で怒りと不安の声が巻き起こり、制度の廃止・撤回を求める世論が沸騰している。政府与党内からも抜本見直しを求める動きが起こっている。
  そもそもこの制度は、「医療費の適正化を推進するため(高齢者の医療の確保に関する法律)」に作られたものであり、75歳以上のすべての高齢者に保険料負担を課した上で、死ぬまで保険料の負担増と医療費抑制のための差別医療を強いるものであり、保団連は改めて「後期高齢者医療制度」の廃止・撤回を要求する。

 高齢者の医療費抑制のために新たに設定された診療報酬の代表的なものが、「後期高齢者診療料」と「後期高齢者終末期相談支援料」である。
  前者は、後期高齢者の病気だけでなく心と体の全体を診るなどの名目で、開業医に対し安上がりな外来医療の提供と入院を含めた高齢者の医療費全体の管理を担わせるのがねらいである。「主病は1つ」などという医学的根拠のまったくない概念を持ち出して慢性疾患の管理を1つの医療機関に限定することは、実質的なフリーアクセスの制限であり、「人頭登録制」につながる危険性をはらむものであり断じて容認できない。さらにこれを合理化するために、厚労省の担当課長が「(これまでも)A診療所で特定疾患療養管理料を算定している患者に対して、B診療所がウィルス疾患指導料を算定できない」などと、告示・通知にもなく、これまでの算定ルールとも異なる解釈を示すことは言語道断であり、直ちに撤回すべきである。
  後者は、終末期の医療費抑制の役割を医師、看護師等に押し付けるものである。終末期をどこで迎え、そこでどのような医療行為を望むかは本人と家族の意思によって決められるべきものであり、政府が意思表示を求める仕組みを作り、それを診療報酬で評価する性格の問題ではない。まさに、医療費抑制のためには手段を選ばない、人間の尊厳を踏みにじる点数設定である。

 高齢者への医療提供の制限と医療費抑制を目的とした「後期高齢者診療料」と「後期高齢者終末期相談支援料」を直ちに撤廃することを政府に求めるとともに、全国の医師、医療担当者に対しては不算定を呼びかけるものである。
  合わせて、全国の会員の先生方には、患者さんとともに「後期高齢者医療制度」の廃止・撤回運動へのさらなる参加・協力をお願いしたい。

以上