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2008年4月20日
厚生労働大臣 舛添要一 様

                               全国保険医団体連合会
医科社保・審査対策部部長 八木 秀満

「主病を診療する1医療機関が算定」との根拠のない解釈と「医学管理料ルール」の居直り発言の撤回と罷免を要求する


4月の診療報酬改定に伴い、後期高齢者診療料を含む医学管理料の運用を巡り、厚労省保険局医療課長をはじめとする医療課の解釈が、診療の現場を大きく混乱させている。
その一つは、後期高齢者診療料の算定を巡って、「この診療料は、当該患者に対して主病である慢性疾患の診療を行っている医療機関が算定するもので、主病は一つ(一人の患者に対し算定できる医療機関は1施設)」という告示・通知には示されていない、特異な解釈を打ち出していることである(3月15日付け医事新報)。
しかし、高齢者は、各科にまたがる多様な疾患を併せ持つことが多く、受診についても、整形外科、眼科、耳鼻科、皮膚泌尿器科、そして内科であっても循環器、消化器、呼吸器など複数の医療機関に受診することも少なくない。このように専門分化した状況の中、ひとりの患者の受診状況をそれぞれの診療科で把握することは、現行の制度上あり得ないばかりか、ひとりの医師が一元管理すること自体が困難である。
「A診療所が指導管理するのは糖尿病」、「Bクリニックが指導管理するのは脳血管疾患」といった受診があり、それぞれの医療機関で特定疾患療養管理料を算定することは、保険診療上のルールに則った当然の請求である。
逆に、これを認めない解釈を押しつけるとすれば、後期高齢者に対する「フリーアクセスを制限していない」と述べていることと、全く矛盾するものである。
二点目は、医学管理料のうち「特定疾患療養管理料」「ウイルス疾患指導料」「小児特定疾患カウンセリング料」「小児科療養指導料」「難病外来指導管理料」「皮膚科特定疾患指導管理料」「慢性疼痛疾患管理料」「小児悪性腫瘍患者指導管理料」などの指導管理等の算定について、「自院・他院を問わず、同一月に算定できない」との規定を、通知で削除しておきながら、運用上の解釈では取り消していない点である。
しかも、わざわざ、「A診療所で特定疾患療養管理料を算定している患者に対し、B診療所がウイルス疾患指導料を算定できない」と解説している。(4月7日付けメディファクス)
3月5日付けの医療課長通知で、一旦挿入され、間違いであるとして訂正通知で削除までされた「自院・他院を問わず」の解釈を、「方針として変えていない」と居直る発言は厚生行政を担う担当者としての資質が問われる発言だと言わなければならない。
そもそも、「A内科で高血圧を管理し、特定疾患療養管理料を算定した患者」の同一月には、「B皮膚科で天疱瘡の指導管理のための皮膚科特定疾患指導管理料は算定できない」、「C精神科クリニックのてんかん患者の指導のためのてんかん指導料は算定できない」、「D病院でパーキンソン病の指導管理のための難病外来指導管理料が算定できない」などといった解釈が成り立つはずはない。
また、診療報酬請求明細書の「傷病名」欄に、「主傷病」明示を求めている通知とも矛盾する。
このような暴論が、告示・通知の根拠もなく、まかり通るとすれば、診療報酬算定のルールは存在しないものと同然と言わなければならない。
保険診療のルールを周知し、守らなければならない立場にある厚労省保険局医療課長が、公然とルール違反を犯すことは、断じて認められない。根拠のない不当な解釈に抗議するとともに、同発言の撤回と罷免を要求するものである。