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2008年6月17日


厚生労働大臣
舛添要一殿


全国保険医団体連合会
会長 住江憲勇

微量採血用穿刺器具に関する要望書

 

 島根県益田市の診療所で、今年4月、同一針による微量採血用穿刺器具を患者37人に複数使用していたことが発覚し、因果関係は不明ですが、うち21人にB型、C型肝炎ウイルスに感染した恐れがあると報道されました。その後、島根県の調査で、微量採血用穿刺器具の複数使用が60近い医療機関で判明しましたが、該当の診療所以外には同一針の複数患者への使用はありませんでした。
 しかし、厚労省は、こうした事態を受け、5月30日、都道府県あてに6月20日を提出期限に調査の実施要綱を送付し、不適切使用が判明した医療機関等については施設名の公表も検討していると伝えられています。
 同一針の複数使用は、医学的常識に悖る行為として言語道断ですが、今回問題になっている事態は、主に糖尿病の患者さんの血糖値を測定する際、指先から採血するときに使う器具本体(針を除く)の複数患者への使用であり、日本では、B型肝炎などの感染症の発生があったという事例は報告されていません。
 今回の事態は、予防的措置として微量採血用穿刺器具の複数者使用を禁止した「薬食安発第0303001号(平成18年3月3日)」の厚労省通知が、メーカーからの注意喚起も含めて、多くの医療機関等に対して、ほとんど周知徹底されていないことから生じたと言っても過言ではありません。同時に、厚労省は、予防的措置とはいえ複数者使用を禁止する科学的な根拠を示すべきです。
 厚労省は、患者・国民の不安を解消するために、今回起こっている事態の正確な情報を公開するとともに、自らが出した通知が医療機関等に対して周知徹底されていない実態を直視し、都道府県に対する指導を強めるべきです。
 この立場から、下記事項を要望します。

一.患者・国民の不安を解消するため、「今回の事態が針の複数者使用ではないこと」「国内では感染症の発生事例はないこと」等について周知すること。

一.「薬食安発第0303001号(平成18年3月3日)」の周知徹底をはかること。

一.微量採血用穿刺器具の複数者使用を禁止する科学的な根拠を早急に示すこと。

以上