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2009年7月21日

実態を無視した後発医薬品の強引な使用促進策に反対する

全国保険医団体連合会
会長 住江 憲勇

厚生労働省は7月1日付けの通知・事務連絡で、地方厚生(支)局が実施する適時調査、集団指導、集団的個別指導、個別指導において、後発医薬品使用を周知徹底することや使用状況の聴取を行うことを求めた。これは2008年診療報酬改定で処方せん様式の再変更等を行うとともに、療養担当規則に医師、歯科医師、薬剤師に対する後発医薬品使用の努力義務規定を新設したことに伴い、この間中医協で後発品使用状況調査を行った結果、「一部に、後発医薬品を使用しないとの強い意思表示をしている医療機関・保険医や後発医薬品に関する患者への説明及び調剤に積極的でない薬局が見受けられる」との理由で、上記指導の中で周知徹底等を行うことを5月20日の中医協総会で決めたことによる。

後発医薬品使用を、たとえ療担規則で努力義務化したからといって、地方厚生(支)局の指導で使用を強要するのは問題である。本来、投薬は患者の自由な選択と保険医の裁量に任されるべきものである。
保団連が2003年に行った医療研究集会共同調査結果では、「後発医薬品不使用の理由」(複数回答)として、最も多かったのが「薬効に信頼がもてない」44.2%で、「副作用発現・安全性に危惧がある」が32.9%、「過去5年間に異なる薬効を経験した」が14.4%と高い数値を示していることや、「過去5年間に先発品と異なる副作用を経験した」が4.5%と薬効と比較して少ないパーセントだが、重大な結果が出ている。また、2008年に実施した「開業医の実態・意識基礎調査」結果では、「後発医薬品を使わない理由」は、「信頼性がない」が78.8%にのぼっている。

以上の調査結果から、厚生労働省がまず取り組むべきことは、保険医と患者の不安と不信を払拭しきれていない現状をしっかりと認識し、薬効や安全性に対する科学的根拠を明確に示すとともに、不断の情報提供を行うことである。

従って、このような実態であるにもかかわらず、一方的に努力義務を押しつけるような事項を、むやみに療養担当規則に盛り込むのは問題である。
保団連は、今後とも患者、国民の健康と医療を守る立場から、患者負担軽減と医療費節減にもつながる、薬効や副作用、安全性が試され済みの後発医薬品の使用を推奨するが、医療費削減ありきの強引な使用促進策には反対するものである。


以上