混合診療禁止原則を適法とした高裁判決
―有効性・安全性が確立された医療はすみやかに保険適用を
2009年9月29日
全国保険医団体連合会
政策部長 津田 光夫
1.東京高裁は9月29日、原告勝訴の東京地裁判決(2007年11月7日)を取り消し、国側の法運用を認める判決を下した。判決は、療養の給付が認められている「インターフェロン療法」と療養の給付に該当しない「インターロイキン2を用いた活性化自己リンパ球移入療法」の併用療法を受けた場合に、混合診療禁止の原則に則り治療費用全額を自己負担すべきとする国側の法運用を適法と認め、原告の違法との主張を退けた。
2.混合診療禁止を適法とする確定判決はすでに出されており(東京地裁1989年2月23日)、混合診療禁止について「法及び療養担当規則には明文規定がない」としつつも、「法の趣旨及び目的、健康保険制度の沿革並びに立法の経緯」も含めて、「法は総合考量の上、特定療養費制度を導入した」と述べ、混合診療は特定療養費の支給対象となる療養に限られるとの判断を下している。
本件事案の一審判決においても、「法解釈の問題と、差額徴収制度による弊害への対応や混合診療全体の在り方等の問題とは、次元の異なる問題である」と明記されていたように、決して混合診療そのものの解禁を認めたものではなかった。
3.安全性や公平性を考慮すれば、日本難病・疾病団体協議会が発表した見解(2007年12月16日)にあるように、「『必要な医療は保険診療で』の原則を堅持」し、有効性、安全性が確立された新しい医療技術、医薬品については、すみやかに保険適用を行い、患者の負担を軽減し、受療権を保障することが必要である。私たちは、引き続き保険給付範囲の拡大と審査承認期間の短縮に向けて全力をあげるものである。