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介護報酬及び障害福祉サービス等の提供による費用の
早急な引き上げを求める要望書

2009年12月8日
全国保険医団体連合会
会長 住江 憲勇

2009年4月1日施行の介護報酬改定では公称で3%の引き上げが行われましたが、介護現場の厳しい状況を改善するにはほど遠い内容でした。
介護報酬の再引き上げを求める現場からの声が大きく広がる中で、3月下旬には当時野党だった民主党、共産党、社民党、国民新党が介護報酬を7%加算する特別措置法案を国会に提出しました。残念ながらこの法案は成立しませんでしたが、「3%の引き上げでは介護崩壊は止まらない」との認識が大きく広がりました。

こうした中で自民・公明による前政権下で、介護職員1人当たり平均月15,000円程度を介護報酬に加えて介護サービス提供事業者に交付する「介護職員処遇改善交付金」が創設されました。
しかし、介護保険の対象である介護職員だけが交付の対象で、その他の職員の給与引き上げに使用することもできないため、「同じ病院で、介護療養病床の介護職員の給与は引き上げられるが、医療療養病床の介護職員の給与は引き上げられない」、「同じ事業所でも看護職員やリハビリスタッフ、事務職員の引き上げには使えない」ために申請できないとの指摘があります。また、給付を受ける場合は、申請書類の提出だけでなく申請後の管理が必要で、さらに平成24年以降の取扱いが不明確であるなど大きな問題があります。

このため、厚生労働省が発表した10月30日現在での交付金申請状況では、72%の事業所しか申請しておらず、その理由は、@対象の制約(26%)、A事務作業が煩雑(17%)、BH24以後の取扱いが不明(14%)、C追加費用負担の発生(10%)等となっており、制度の欠陥が露呈しています。
介護職員の給与や労働条件の改善は喫緊の課題であり、十分な対応を行うことは介護サービス事業者の責務です。同時に、介護サービス事業者が、職員の給与や労働条件の改善を行えるような手立てをとるのは、政府の責任です。
また「福祉・介護人材の処遇改善事業助成金」についても同様の制度が設けられていますが、こちらは、60%の事業所しか申請がなく、その理由も「介護職員処遇改善交付金」とほぼ同じです。
こうしたことから、当会では下記の改善を早急に行うよう、強く求めるものです。

一 介護・福祉事業に携わる職員の給与や労働条件を改善するとともに、利用者へのサービスの向上が図れるよう、介護報酬及び障害福祉サービス等の提供による費用を緊急に7%引き上げて「介護職員処遇改善交付金」、「福祉・介護人材の処遇改善事業助成金」を廃止すること。

一 引き上げにあたっては、基本サービス費を中心に引き上げを行い、介護・福祉サービスの底上げと利用者へのサービス向上が図れるようすること。

一 引き上げにあたって区分支給限度額の引き上げを行うとともに、引き上げに必要な財源は、国庫負担によって賄うこと。

一 少なくとも「介護職員処遇改善交付金」、「福祉・介護人材の処遇改善事業助成金」を次のように改善すること。
@ 交付対象を全ての職員に広げること。
A 交付金の使用範囲を全ての職員に広げること。
B 実績報告を不要とすること。
C キャリアパス要件を導入しないこと。