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プルサーマル計画の中止を求める

2010年1月25日
全国保険医団体連合会
公害環境対策部長 野本哲夫

プルトニウムを燃料に使用する日本初のプルサーマル発電が、昨年、佐賀県の九州電力・玄海原子力発電所で始動した。今年2月には、愛媛県の四国電力・伊方原発でも運転開始を予定するなど、2015年までに全国の原発でプルサーマル発電が計画されている。
  プルトニウムは放射能が極めて強く、体内に入り込んだ場合、微量でもがん発生の原因となる危険な物質であり、核兵器の材料にもなる。また、プルトニウムとウランとの混合物であるMOX燃料はフランスから輸送しており、現在の軽水炉型原発で使用されているウランより高価で、経済的な利点もない。
  政府がプルサーマルを推進している最大の理由は、原発で使用した使用済み核燃料からプルトニウムを取り出し、原発の燃料にするという核燃料サイクル政策の破たんにより、プルトニウムが余っているからである。
プルトニウム利用が予定されていた高速増殖炉「もんじゅ」は、1995年にナトリウム漏れ・火災事故を起こして以来、14年間運転を停止しており、実用化の見通しは全く立っていない。また、青森県六ヶ所村の核燃再処理工場は、試験運転段階でトラブルが続発し、本格操業の見通しは立っていない。再処理過程で発生する高レベル放射性廃棄物の最終処分場の選定も難航している。
  プルサーマル計画は、安全性の面からも経済的コストの面からも大きな問題を抱えており、乱立する原発にその計画が広がると、地震列島と言われる日本に新たな危険をもたらすものである。
本会は、国民のいのちと健康を守る医師、歯科医師の団体として、プルサーマル計画の中止と核燃サイクル計画の根本的な見直しを強く求める。