ホーム

 

厚生労働大臣
長妻  昭 殿


2010年4月4日
全国保険医団体連合会
女性部長 板井八重子

女性医師・歯科医師の労働環境改善を求める要請書

 

国民医療のために日夜ご奮闘いただき、敬意を表します。
昨今の地域医療の崩壊と勤務医師の労働環境問題が社会問題化し、医師の就労問題がかつてなく活発に議論されるようになりました。また、医師国家試験合格者に占める女性の割合が3割を越した現状下では、労働環境の改善は喫緊の課題です。
私たちは女性医師を取り巻く労働環境の改善によって、医療従事者全体の労働環境の改善、ひいては地域医療の再生、国民・患者さんにとって安全な医療の提供につながると考えています。
このような中、平成19年(07年)に発表されました、「緊急医師確保対策」のなかでは女性医師への支援として、@病院内保育所の更なる拡充(24時間保育等の補助額の引き上げなど)A女性医師の復職のための研修を実施する病院を支援する補助事業を新たに創設 B就業相談機能を充実することにより、「女性医師バンク」の体制強化等は、女性医師の労働環境を改善する一助になると大いに歓迎いたしました。実質的な裏付けとなる予算についても、平成19年以降毎年増額をしており期待していたところです。
しかしながら、今年度は前年の執行率の低さを理由に、予算が大幅に削減されたことは、大変憂慮すべきことだと考えております。平成20年度の執行率は「医師交代勤務導入促進事業」(14.4%)、「短時間正規雇用支援事業」(2.2%)、「医師事務作業補助者設置支援事業」(2.3%)、「女性医師等復職研修・相談事業」(17.6%)と大変低調でした。その原因は、地方自治体、事業主の負担割合が大きいこと、自治体担当者への周知徹底が不十分であったこと、現場の要求が必ずしも反映された施策でなかったことが原因ではないかと推察します。
先般貴省が発表された、厚生労働科学研究費補助金病院勤務医等の勤務環境改善に関する研究「女性医師就労支援事例の収集・検討」(平成21年)を実現するためにも、予算執行の仕組みの善処を切望する次第です。
私たち全国保険医団体連合会・女性部は、女性医師・歯科医師が増加している今日、その労働環境を整備しなければ、抜本的な医師不足の解決にならないのではないかと考えています。
貴職におかれましては、ぜひ私たちの声を真摯に受け止めていただき、今後の施策に活かしていただきたく、以下の事項を要請いたします。

  1. 勤務・開業している女性医師・歯科医師が働き続けられるよう、出産・育児・介護支援のための諸施策を検討し、予算を確保すること。

  2. 国の責任において非就労の女性医師・歯科医師の実態を調査すること。

  3. 病院内保育所の整備だけではなく、地域保育所の待機児童問題の解決をはかること。

  4. 医療現場の実態に即した実行可能な制度に改善すること。

以上