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診療行為別調査よりみた薬剤費の実像

入院外医療費の伸びの大半は薬剤費  医科本体の実質伸びは僅か0.07兆円

2010年5月より実施した「保団連版・診療行為別調査」の分析の過程で、厚生労働省が中医協に提出している薬剤費、公表されている社会医療診療行為別調査の薬剤費が実際より過小に見積もられていることが判明した。
本会は、このような情報処理、資料作成のあり方に抗議するとともに、すみやかに訂正されることを求めるものである。

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総医療費の推移(2001−2008年度)
 増加した内訳は、調剤が2.19兆円でトップ、続いて病院の入院が1.29兆円 。診療所の伸びは0.4兆円に過ぎず、 
 歯科はほぼ横ばいである。

入院外医療費の推移
 入院外医療費は7年間で2.4兆円増加している。中でも調剤の伸びが2.19兆円(+67.3%)と著しい。

調剤薬局医療費の推移
 調剤薬局の医療費の増加は主に薬剤費の増加による 。

中医協資料「薬剤及び推定乖離率の年次推移」に異議あり
 計算式がおかしい。包括分の薬剤費が含まれていない。

中医協資料の薬剤費の内訳と推移
 入院は包括が進んだ結果、低下。入院外は院外処方が進んだ結果、低下。これに対して調剤薬局の薬剤費は
 7年間で約2兆円も増加している。

入院外レセプト1件当り医療費の伸び率の推移
 診療所、歯科は減少。病院は増加。薬剤費は7年間で+15.6%と急増。

医科・調剤入院外医療費の伸び2.44兆円の内訳
 入院外医療費の伸びの大半は薬剤費によって占められ、人工腎臓(透析)、調剤薬局技術料の伸びを除くと、
 医科本体の医療費の伸びは0.07兆円に過ぎない。

社会医療診療行為別調査の薬剤料に異議あり
 除外されるべき透析の明細書が含まれているため、みかけ上薬剤料比率が低下しているようにみえる。
 透析を除くと薬剤費比率は上昇している。