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全国民共通の最低基準引き下げにつながる
「地域主権改革」一括法の成立に抗議する

2011年5月9日
全国保険医団体連合会
会長 住江 憲勇


  昨年の通常国会から継続審議となっていた、「地域主権改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案」(「地域主権改革」一括法」)など関連3法案が、4月28日参議院本会議で、法律名を一部変更した上で、可決成立した。
国政の最重要課題である東日本大震災からの復旧・復興に向け、第一次補正予算の審議が行われている中、衆議院と参議院あわせて10時間ほどの審議で、参考人質疑も行わず法案を採決、成立させたことに、断固抗議する。

 今回成立した「地域主権改革」一括法は、自民・公明政権当時の地方分権改革推進委員会の勧告を引き継ぎ、実行する内容であり、「義務付け・枠付け」の廃止と称して、保育所や障害者施設の設置基準、介護施設の設備・運営基準、住民への医療提供を確保するための「医療計画」の内容の一部などを、地方自治体の条例に委任することになっている。
また、今通常国会に提出されている「地域主権改革」一括第2次法案には、医療法で国が定める、医療機関の人員基準や施設基準の一部を条例委任とすることや、公立高校の収容定員基準の廃止などが盛り込まれている。
国には、すべての国民に医療や介護、福祉、教育などの最低基準を保障する責任があるが、「地域主権改革」一括法の実施によって、国の責任をいっそう後退させ、全国民共通の最低基準が引き下げられることが危惧される。

保団連は、国が責任を持って、最低基準を保障するとともに、住民の福祉を守る地方自治体の役割の拡充をめざして、国民的共同を推進することを改めて表明する。

以上