ホーム

 

厚生労働大臣 細川律夫 様
衆参国会議員 各位

2011年5月26日
全国保険医団体連合会
会長 住江 憲勇

介護保険「改正」法案の拙速な採決をやめ、徹底審議を求めます


前略 お世話になります。
さて、介護保険法「改正」案について衆議院厚生労働委員会は、5月27日に委員会採決を行う予定であると報道されていますが、委員会は27日を含めてたった10時間の審議と1回の参考人質疑しか行っていません。

同法案は、当会が何度も指摘しているように、@新設される「介護予防・日常生活支援総合事業」や「複合サービス」は、社会保障に対する国の責任を放棄し、自治体による介護給付格差を拡大する、A医療・介護現場が強く求めている介護療養病床廃止撤回は6年間の廃止延期に留める一方で、医療保険の病床削減や介護療養病床廃止を企図して介護職員等による喀痰吸引・経管栄養を解禁する、B公費負担を増やさないことを前提にした財政の枠組み、C医療と介護の連携を名目に医療保険・介護保険給付を制限するなど様々な問題があります。こうした問題を検討し、国民が求める介護保険制度を構築するためには、法案の内容を広く知らせ、国民的な議論についても保証されなければなりません。

また、今は、未曾有の被害をもたらした東日本大震災からの復旧・復興を優先させる時期です。介護保険「改正」法案は、いったん棚上げして震災対応の必要な措置をとり、十分な審議を行うべきです。
以上のことから、全国保険医団体連合会(医科・歯科保険医103,000人)は、介護保険法案審議にあたって、次の点の実現を強く求めるものです。

一、介護保険法案の拙速な採決をやめ、徹底審議を行うこと。
一、介護保険サービスの確保について、東日本大震災からの復旧・復興を優先すること。
一、利用料・保険料負担の拡大や給付の削減ではなく、政府が公約どおり公費負担を拡大し、介護サービスの充実を行うこと。新たに必要となる財源は、消費税増税ではなく、国と自治体の責任と負担で確保すること。
一、要支援者に対する予防給付の見直しを撤回し、訪問介護における生活援助を拡充すること。介護予防事業・包括的支援事業等、介護の予防に対する事業は公衆衛生行政の一環として自治体が全額公費負担で実施し、その費用は国が責任を持つこと。
一、医療系介護サービスは医療保険に戻して、医療保険で必要なサービスが受けられるよう、給付制限をなくすこと。
一、介護療養病床は、廃止の延期ではなく、廃止そのものを撤回すること。
一、介護職員処遇改善に関わる費用は国庫負担で実施し、対象範囲及び支給金額を引き上げること。また、介護サービスの向上を図るため、介護報酬を大幅に引き上げること。