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国の責任で放射能汚染水の抜本的な対策を

2013年8月26日
全国保険医団体連合会
公害環境対策部長 野本 哲夫

原子力規制委員会は8月21日、福島第一原発の地上タンクから高濃度の放射性物質を含む汚染水が漏洩した問題について、原発事故の国際評価尺度(INES)で「レベル3(重大な異常事象)」に相当すると発表した。漏洩量は約300トンにのぼり、タンクからの水漏れとしては過去最大である。このような事態が予測できたにもかかわらず、適切な対応を怠った国の責任は重大である。

漏洩した汚染水は、ストロンチウムなどの放射性物質がそのまま残る高濃度汚染水で、その大部分は地中にしみ込んだとみられ、地下水によって海に流出する可能性がある。既に、福島第一原発からは放射性物質で汚染された地下水が海へ流出し続けており、極めて深刻な事態が生じている。

福島原発事故から2年半、使用済み核燃料プール冷却装置の故障や放射能汚染水の漏出など、これまでも重大なトラブルが相次いでいるが、今回の事態は、まさに「国家としての非常事態」(佐藤雄平福島県知事)であり、内外の英知を結集し国の総力をあげて抜本的な対策に取り組むべきである。政府が汚染水対策を東京電力に任せ、東電は不十分な応急対策を繰り返してきたことが、汚染水漏洩の大きな要因である。

今回の深刻な事態をみても、事故が収束していないことは明らかであり、本会は、「事故収束宣言」の撤回、原発からの即時撤退、原発再稼働の禁止など、下記事項の実現を強く求める。

一、政府は「事故収束宣言」をただちに撤回し、放射能汚染水の抜本的な対策など原発の事故収束作業に国の総力をあげて取り組むこと。

一、原発からの即時撤退を決断し、再稼働・新増設を禁止すること。


以上