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2014年12月25日

在宅医療点数の大幅減算等の撤回を求める【声明】

全国保険医団体連合会
会長 住江憲勇

厚生労働省は12月24日、当初予定から約2カ月も遅れて『同一建物同一日の訪問診療等の適正化による影響調査(H26年度調査)』の結果(速報案)を中医協に報告した。同日の総会では、この結果を受けて「2014年改定前後で医療現場への影響はほぼ見られず、必要な医療は概ね確保されている」との結論に至ったとされている。

しかし、同速報案(医療機関調査)の「改定前後での変化(診療所n=511)」を見ると、▽訪問診療時の総移動時間が増加(「大いにあてはまる」+「あてはまる」:22.1%)、▽移動時間増による医師の労働時間の増加(「大いにあてはまる」+「あてはまる」:25.4%)、▽施設への訪問回数が増加(「大いにあてはまる」+「あてはまる」:20.2%)、▽訪問診療に係る収入減(「大いにあてはまる」+「あてはまる」:41.3%)―等の結果となっており、在宅医療に取り組む医療機関にかなりの影響が出ていることは明らかだ。また、集合住宅調査では、「医療機関の都合で訪問診療が減った」と回答した施設の6割以上が「利用者を外来に通院させて診療を継続している」としており、介護職員の通院介助、利用者の外来通院等の負担増がみてとれる。

さらに、厚生労働省は「(今次改定によって)事業所から患者の紹介を受ける対価として、経済上の利益を提供する契約を行っている医療機関が減少した」と結論付けたが、当該調査結果によれば、そもそも改定以前に患者紹介の契約があった診療所は593医療機関のうち僅か1.3%に過ぎない。このようなレアケースを根拠に在宅医療点数の大幅引下げを断行し、真摯に在宅医療に取り組む医療機関が被害を受けている事実は、到底容認できるものではない。

保団連は、あらためて2014年改定で実施された@同一建物居住者における訪問診療料の半減、A在医総管等の算定要件の強化と大幅減算、B別紙様式14「訪問診療に係る記録書」の導入―等を撤回するよう強く要求するものである。

以上