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【談話】高浜原発差し止め仮処分決定について

2015年4月14日

全国保険医団体連合会
公害環境対策部長 野本 哲夫

 福井地裁は4月14日、原子力規制委員会が新規制基準に「適合」しているとして審査書案を了承した関西電力・高浜原発3、4号機について、運転再開の差し止めを命じる仮処分を決定した。昨年5月に福井地裁が言い渡した大飯原発3、4号機の運転再開差し止め判決に続く画期的な決定である。

 福井県には高浜原発の他、大飯原発、美浜原発、敦賀原発、高速増殖炉「もんじゅ」などの原子力施設が集中して立地し、敦賀原発2号機の直下の断層は活断層である可能性が極めて高い。重大事故のリスクは他の原発の比ではない。また、福島第一原発事故では最終的に30キロ圏内が避難区域となったが、高浜原発は30キロ圏内に福井県だけでなく京都府、滋賀県が含まれ、事故の際の避難人口は数十万人規模となる可能性がある。大飯原発差し止め判決では、人格権を保障する立場から250キロ圏内の住民に対し事実上の拒否権を認めた。

 仮処分決定は、危険な原発の再稼働に警鐘を鳴らしたものであり、国民世論に沿った決定である。福島第一原発では、最近、2号機の原子炉建屋から高濃度の放射能汚染水が外洋に流出していたことが判明し、海洋汚染が危惧されている。今回の決定は、福島第一原発事故の教訓をふまえ、昨年の福井地裁判決に続いて、原発の持つ本質的な危険性と被害の深刻さ重大さを指摘したものである。

 関西電力は決定に従い、高浜原発3、4号機の再稼働を断念すべきである。また、政府は原発への依存政策をやめ、エネルギー基本計画で示した「原発依存度を可能な限り低減する」ために、昨年の福井地裁判決、今回の仮処分決定を真摯に受け止め、原発からの撤退を決断すべきである。

以上