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【抗議声明】ふたたび白衣を戦場の血で汚さない
戦争立法(安保法制)閣議決定は撤回せよ

2015年5月14日

全国保険医団体連合会
非核平和部長 永瀬 勉

 

 5月14日、安倍政権は、他国防衛・支援のため、切れ目なく、いつでもどこでも自衛隊による米軍等他国軍への軍事支援を可能とすることが主目的の戦争立法「平和安全法制整備法」、「国際平和支援法」を閣議決定した。

 全部で11本の法律案では、戦闘地域で武力行使を行える、「周辺」有事に限らずどこでも自衛隊の実力行使が行える、「重要影響事態」など抽象的・曖昧な理由で武力行使が可能となるものばかりであり、法律要綱案に記述された国民の「平和」と「安全」を守るとする立法趣旨とはほど遠い。国民の命と健康を守る医師・歯科医師の団体として同法案の閣議決定の撤回を求める。

 同法制定は、憲法が禁じた集団的自衛権の行使を立法化し、自衛隊を以て、米軍等他国軍支援のため、武力行使を法律で強制・正当化するものであり、これまで歴代内閣が保持してきた憲法解釈や、戦後日本が歩んできた平和主義、専守防衛の理念を根本から覆し、平和国家としての地位を突き崩すものである。

 安倍首相は、4月末に米国上下両院で議会演説し、安保法制を8月までに成立させることを約束、日本国民の安全や主権国家としての立法府での意志決定より、米国の安全保障政策への財政的・軍事的貢献を優先させた。

 また、4月27日に合意した日米防衛協力の指針(ガイドライン)の改定では、東アジアにおける米軍の軍事力・抑止力維持を自衛隊が補完するものであり、紛争の抑止ではなく、地域紛争や武力行使に巻き込まれる危険性が格段に増すことになる。

 私たち医療者は、戦前は軍医として、多くが戦場に駆り出され、医薬品や治療器具が欠乏する中で、従軍を強いられ、多くが戦死した。

 戦時中、国内の医療や医薬品等の物資は制限され、戦争遂行のための医療に傾注させられた。戦争する国作りへの道は、軍事優先で国民の命と健康が蔑ろにされる歴史が再現されることになりかねない。

 戦後70年を向かえた今、いかなる理由があろうとも戦争・武力行使は許さない、殺し殺される時代への遡りは許さないことを誓うとともに、憲法9条で平和の国際貢献を行うことを求め、患者・国民とともに、戦争立法の制定阻止のために行動する。

以上