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※全国保険医団体連合会は、9月26日〜27日に「第33回病院・有床診療所セミナー」を開催し、以下の決議を上げました。

社会保障改悪に反対し、必要な医療が提供できる
診療報酬引き上げ等を求める決議

 

 政府は、患者・国民には大幅な負担増、医療機関には診療報酬引き下げを強いるとともに、医療や社会保障分野を民間営利企業の儲けの対照にする社会保障の連続改悪を進めている。
 2014年診療報酬改定では、消費税増税対応分を除けば1.26%のマイナス改定を実施し、今年5月に成立した「医療保険制度改革関連法」では入院時食事負担の大幅引き上げ、さらに6月15日に発表された「地域医療構想のガイドラインに基づく病床削減試算」では、急性期を中心とした大幅な病床削減が示されている。
 このような改悪は、何よりも患者さんが必要な医療を受けることができない状況を広げるものであり、医療機関の経営を困難にさせる。
 政府は、財政危機の原因を社会保障費増大であると喧伝するが、真の原因は、@高度成長が終焉しても無駄な公共投資を続けるとともに、A90年代以降、大企業や富裕層を中心とした法人税や所得税の減税を進めたために税収不足が続き財政赤字を拡大させたことにある。
 一方、2000年から2014年までに大企業の内部留保は142兆円から300兆円に増加したが、民間平均賃金は467万3千円から大幅に低下している。
 内部留保は、雇用を改悪し、法人税減税によって得たものである。賃金や雇用体系を改善し、諸外国と比べて低い社会保障に対する事業主負担を引き上げるなど、大企業の内部留保を社会に還元させ、高薬価を是正すれば、診療報酬を引き上げ、雇用と生活、社会保障を守ることが可能である。
 平成22年版厚生労働白書では、社会保障分野の「総波及効果」は公共事業よりも高く、主要産業より「雇用誘発効果」が高いことが示されている。社会保障への支出は、社会保障を受ける人を救うだけでなく、雇用を確保し日本経済を押し上げる効果を有する。
 こうしたことから私たちは、患者さんが受ける医療を守るため、次の事項の実現を求めるものである 。

一.病院と有床診療所が役割を発揮できるよう、診療報酬を引き上げること。
一.地域状況を勘案しない病床再編・削減をやめること。
一.患者負担の更なる拡大をやめ、患者負担を軽減すること。
一.医療にゼロ税率を適用し、消費税増税を中止すること。
一.医療事故調査制度をWHOドラフトガイドラインに基づいた「医療安全」に徹した制度とすること。
一.TPP参加をやめ、混合診療解禁や株式会社による病院運営の解禁を行わないこと。
一.憲法を守り、平和と民主主義を徹底すること。

以上、決議する。

2015年9月27日全国保険医団体連合会
第33回病院・有床診療所セミナー