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全国保険医団体連合会第47回大会決議
〜社会保障改悪と安保法制・改憲に反対し、
地域医療の拡充、発展を求める〜

2016年1月31日
全国保険医団体連合会

 

 私たちは国民皆保険を守り、地域医療の実践と向上に取り組んできた。今後、わが国の人口構成と疾病構造の変化により、地域医療の役割がさらに高まっている。医療の第一線を担う私たちは住民の期待に応えなければならない。
 しかしながら、社会保障を軽視する政治は、私たちの日々の実践と向上を阻み、地域住民の命と健康を脅かす事態を引き起こしており、私たち医師・歯科医師はこれに強く抗議する。
 安倍政権はこの間、「アベノミクス」や「新3本の矢」、「一億総活躍社会」などを掲げ、日銀と一体となって大企業の利益を優先する施策をすすめる一方、社会保障の削減を続けている。「骨太方針2015」では、社会保障の自然増を毎年5,000億円を目安に抑制することを目指している。
 雇用と賃金がないがしろにされ、非正規労働者が約2,000万人となり、国民の給与総額が減少、生活保護受給世帯が過去最高となるなど、貧困と格差が拡大している。そして政府の医療費削減方針は、患者を病床から押し出し、地域の医療難民、介護難民を増やしている。これ以上の負担増と給付の削減、医療費の抑制は、受診抑制と患者の重症化をさらに深刻化させるものである。
 国民の「自助、自立」を強調することによって、社会保障に対する国の責任を放棄することは、憲法の保障する生存権、社会保障の基本理念を無視するものである。
 憲法無視はこれにとどまらない。安倍政権は、憲法学界、法曹界を含めた国民の多くの反対を無視して安保法制を強行成立させた。自衛隊の海外での武力行使や集団的自衛権行使を容認する憲法違反の暴挙である。
 社会保障を改悪することも、戦争ができる国に道を開くことも、地域医療の拡充、発展に向けた私たちの努力を無にし、国民のいのちと健康、暮らしを軽視することにほかならない。
 7月に行われる参議院選挙も視野に入れ、私たちは、政治の行方に不安を抱くすべての人々と力を合わせ、社会保障の切り捨てと、戦争への動きを阻止するため、以下の基本要求を掲げ、本大会活動方針に基づき取り組みを進める。

一、医療、介護など社会保障費の抑制、削減をやめ、患者・利用者、国民の負担を軽減すること。
一、医療の充実、向上のため、診療報酬を引き上げること。
一、医療、社会保障財源は負担能力に応じた税・社会保険料で確保し、所得再分配機能を十分に発揮させること。
一、患者申出療養など混合診療の拡大をやめ、必要な医療は速やかに、保険適用すること。
一、消費税の10%への税率引き上げは中止すること。医療への消費税には「ゼロ税率」(免税)を適用すること。
一、審査、指導、監査は、保険医と患者の人権が守られることを、最優先とすること。
一、医療の営利化に道を開く規制緩和をしないこと。TPPから撤退すること。
一、個人の医療情報を、給付の統制・管理や営利事業等に利活用する個人番号(マイナンバー)制度は直ちに中止すること。
一、東日本大震災・原発事故からの復興、被災者の生活再建のため、復興支援に全力を挙げること。
一、原発の再稼働は中止し、「原発ゼロ」の実現を目指して再生可能エネルギー中心の社会に転換すること。
一、小選挙区制度を改め、民意を正しく反映する選挙制度を確立すること。
一、人権尊重、平和主義、民主主義に基づく日本国憲法を遵守し、憲法違反の安保法制は廃止すること。
一、沖縄・普天間基地は無条件撤去し、新たな基地は作らないこと。辺野古の米軍新基地建設をやめること。

以上、決議する。