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全国保険医団体連合会では、6月26日に2016〜17年度第1回代議員会を開催し、下記の決議を採択しました(PDFはこちら)。

国民のための医療と社会保障の充実・発展を求める決議

 

 安倍政権はこの間、安全保障関連法の強行をはじめ、原発再稼働、沖縄辺野古の新基地建設など、あらゆる面で暴走を続けてきた。「アベノミクス」の名の下で大企業を優遇する一方、国民は、税と社会保障による所得再分配機能はもとより、雇用と賃金も破壊され、貧困と格差が拡大してきている。
 こうした暴走は、医療・社会保障においては徹底した給付抑制と負担増という形で現れている。政府は、社会保障費の自然増を3年間で1兆5000億円に抑制することを目標に、2016年度も−1.44%にも及ぶ診療報酬マイナス改定を実施した。
 今後さらに、医療・介護における患者・利用者の負担増、医療提供体制の再編や医療費適正化が計画されている。これは受診抑制と患者の重症化をさらに深刻化させるものであり、われわれは断じて容認できない。
 国民の命と健康、暮らしを省みず、社会保障に対する国の責任を放棄することは、安全保障関連法制の具体化や、人権・民主主義・平和をないがしろにする安倍政権の明文改憲への指向と一体のものである。
 いま、参議院選挙を目前にして、こうした安倍政権の暴走に対する国民の不安と怒りが広がり、安倍政権に対抗する野党の共闘が進展する中で国民の政治への関心が高まるという、かつてない状況が生まれている。
 われわれは命と健康を守る医師・歯科医師として、安倍政権の暴走を押し止め、国民のための医療と社会保障の充実・発展を求める見地から、以下の実現に全力を挙げる。

、社会保障の抑制を狙う「経済・財政再生アクションプログラム」に基づく医療・介護の保険制度、提供体制の「改革」を行わないこと。

、あらたな給付削減・負担増を行わず、医療提供体制の確保について国・自治体が責任を持つこと。受診抑制をもたらしている患者負担を大幅に引き下げること。

、新専門医制度は、合意を重視し拙速に開始しないこと。

、東日本大震災、熊本地震の被災者の医療・介護の自己負担免除と保険料減免を国の責任で実現すること。公的、民間を問わず、被災医療機関の医療機能の復旧・再建に向け、公的資金による支援制度、無利子かつ長期返済猶予の融資制度を創設すること。

、診療報酬について、基礎的技術料の評価を中心として大幅に引き上げること。

、消費税増税は延期ではなく中止すること。医療は免税取引として「ゼロ税率」を適用すること。

、マイナンバー制度は中止すること。個人番号と被保険者証の一体化や、レセプト、健診等の医療情報との紐付けを行わないこと。

、審査、指導、監査は保険医と患者の人権が守られることを最優先とすること。

、誰もが平等に受けられる医療を守るためTPP協定の批准は行わず、撤退すること。

、原発の再稼働、新増設を止め、既存の原発は速やかに廃炉にすること。原発からの撤退を決断し、再生可能エネルギー中心の政策に転換すること。

、沖縄の米海兵隊・普天間基地をただちに撤去し、辺野古への新基地建設をやめること。

、日本国憲法を遵守し、安保関連法は廃止すること。

以上、決議する。
2016年6月26日  全国保険医団体連合会 第1回代議員会