ホームニュースリリース・保団連の活動私たちの提言・意見

※全国保険医団体連合会は、9月6日に下記の内容について塩崎厚生労働大臣に送付するとともに、その内容について記者会見を行いました。(PDF版はこちら)。

「高額薬剤」への対応と薬価制度改善を求める要望書

2016年9月6日
全国保険医団体連合会
会長 住江憲勇

 

 前略 貴職が医療行政・国民生活に果たされます重責に敬意を申し上げます。
 私ども、全国保険医団体連合会(会長:住江憲勇、略称:保団連、会員数10万5千人)は、全国の医師・歯科医師で構成する団体です。 
 本会は、かねてより日本の高薬価構造を指摘し、薬価算定過程の透明化など公正で透明な薬価制度の実施を求めてきました。現在、薬価の在り方に関わって、中央社会保険医療協議会において、オプジーボ(一般名:ニボルマブ)などの「高額薬剤」に対する緊急対応策が検討されています。
 つきましては、本会としまして、国民皆保険制度を維持しつつ、経済力に関わらず患者・国民に良質な医療を平等に保障するためにも、現行の薬価算定制度について、下記の事項を要望いたします。

1、新薬の薬価算定プロセスについて

(1)

厚労省担当部局の裁量的判断を排し、算定経過を公開すること。

(2)

PMDA及び薬価算定組織で議論された内容や資料については、個人のプライバシーに関する事項や特許関連の事項を除きすべて開示対象とし、ホームページ等で公表すること。

 

2、既収載品の市場拡大再算定ルール

(1)

効能追加があった時点において、すべて市場拡大再算定の対象とすること。薬価の引き下げ幅は米英独仏の実勢価格を踏まえること。

(2)

英国の5倍にものぼるオプジーボの薬価を緊急に引き下げること。緊急性から期中改定とするが、前例としないこと。

 

3、「外国平均価格調整」ルール

 欧州各国での薬価からそれぞれの国で定める薬局マージンを差し引いた金額、米国については薬価表に表示されている製薬企業希望小売価格(AWP)の72%を基準に比較すること。

 

4、原価計算方式

(1)

臨床試験で比較した薬が薬価収載後10年以上の場合でも、原価計算方式とはせず、類似薬効方式で薬価算定すること。

(2)

使用される係数のうち、そもそも異常に高い営業利益率は引下げて計算すること。少なくとも、製造業平均との中間レベルの営業利益を確保する水準までベンチマークを引下げること。

(3)

製品総原価の内訳を公表すること。

 

5、市場での取引価格の高止まりの要因である「新薬創出等加算」と「建値(新仕切価)制度」を即時廃止し、医療機関と医薬品卸との間での自由な経済取引を保障すること。

※ 詳細については、「『公正で透明な薬価制度改革』のための要望書」(全国保険医団体連合会、2012年11月8日)を参照されたい。

以上