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※全国保険医団体連合会は、11月27日に「地域医療活動交流集会」を開催し、以下の決議を採択し、安倍総理大臣と塩崎厚生労働大臣に送付しました。(PDF版はこちら)。

【決議】患者・利用者が必要な医療・介護を安心して受けられる制度の実現を求める

 政府は、社会保障に対する国と企業の責任を縮小して、患者・国民と医療機関に負担を転嫁する計画を進めている。
 2017年に実施又は法案提出が検討されているのは、医療保険では、@入院時の光熱水費の自己負担増、A70歳以上の患者負担上限引き上げ、B市販類似医薬品の負担増、Cかかりつけ医以外の受診時定額負担の導入等である。
 介護保険では、@現役並所得者利用料の3割負担化、A利用料の負担上限額の引き上げ等が検討されている。
 この間の運動によって、介護保険の「軽度者」の福祉用具貸与等の保険外しや、要介護1・2の生活援助の保険外し、利用料の原則2割負担化の2017年通常国会への法案提出は見送られる方向となった。また、「かかりつけ医」以外の受診時定額負担の導入も見送られる可能性が高まっている。しかし、これらの計画が消え去ったわけではなく、今後も運動が必要である。
 また、2018年には、診療報酬と介護報酬の同時改定が予定されており、改定幅や都道府県単位の診療報酬設定、市販類似医薬品の保険給付外しの討議が2017年に本格化する。さらに、2018年は国保都道府県単位化、第7次医療計画、介護保険法改定実施と第7期介護保険事業計画、第3期医療費適正化計画、第3期介護給付費適正化計画のスタートの年であり、これらの実施に向けた検討も2017年に本格化する。
 政府は、患者負担・利用料負担の引き上げと診療報酬・介護報酬の引き下げ、保険給付範囲の縮小を実施しようとしているが、この間の窓口負担・利用料負担の拡大によって受診抑制が広がっている。
また、長年にわたる診療報酬や介護報酬のマイナス改定で、医療機関や介護保険事業所の経営は困難となっており、診療報酬・介護報酬の引き上げ改善が求められている。
 私たちは、地域医療に携わる医師・歯科医師として、患者・利用者が受ける医療・介護を守るため、下記の実現を求めるものである。

一.

入院時の光熱水費の自己負担増をやめること。

一.

70歳以上の患者負担限度額(高額療養費)の引き上げをやめること。

一.

後期高齢者の低所得者への保険料軽減措置を廃止しないこと。

一.

介護保険の利用料負担を引き上げないこと。

一.

市販類似薬の保険給付外しや、負担増を行わないこと。

一.

かかりつけ医以外の受診について、定額負担を導入しないこと。

一.

診療報酬・介護報酬を引き上げ、必要な医療・介護が提供できるようにすること。都道府県ごとの診療報酬設定を行わないこと。

一.

災害救助法が適用された場合には、国による窓口負担免除を実施すること。東日本大震災被災者の免除復活、熊本地震被災者の免除を来年3月以降も継続すること。

一.

被災民間医療機関への公的補助を創設・充実すること。

一.

生活保護の切り下げをやめ、国際水準に見合った捕捉率に引き上げること。

一.

医療・介護総合法を廃止するなど社会保障・税一体改革をやめること。

以上、決議する。
2016年11月27日
全国保険医団体連合会
地域医療活動交流集会