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※全国保険医団体連合会は、3月6日に下記の声明を発出しました 。(PDF版はこちら)。

【声明】「共謀罪」法案の国会提出に断固反対する

2017年3月6日
全国保険医団体連合会
非核平和部長
永瀬 勉

 政府は、「組織犯罪処罰法改正案」(以下「共謀罪」)を3月上旬に閣議決定し、国会に提出しようとしている。
 当初は、「テロ対策」、「国際条約批准」が法案提出の理由と説明していたが、同法原案には「テロ」との文言が一つもなく、世論操作に過ぎなかったことが判明した。
 同法原案では、「組織的犯罪集団」の明確な定義がなく、2人以上で対象となる犯罪を計画し「準備行為」しただけで刑事罰の対象とされる。計画だけで処罰することは、犯罪行為があったときに処罰するとした刑法の大原則を逸脱するものであり、内心の自由、表現の自由を脅かすと批判され三度も廃案となった共謀罪そのものである。
 処罰対象となる「準備行為」は、「資金又は物品の手配、関係場所の下見その他」と定義され、「準備行為」に関わった者以外も処罰の対象となる。
 何を対象とするかは捜査機関の裁量に委ねられており、「準備行為」の「その他」の範囲が広く、逮捕勾留の範囲が無制限に拡大することを強く懸念する。
 同法の適用対象となる犯罪は、重大犯罪に限らず、一般市民が犯し得るような「私文書偽造」、「公文書偽造」なども幅広く対象とされた。
 国会審議において、法務省は、市民団体など一般の団体が性質を一変させることにより対象となりえると答弁しており、テロとは無縁の一般の市民、団体が処罰の対象となる可能性がある。
 また、対象犯罪として、向精神薬取締法(向精神薬の輸入、営利目的の譲渡)、臓器移植法(臓器売買等)、感染症予防法(1種病原体等の発散、輸入、所持等、2種病原体等の輸入)、医薬品医療機器等法(業として行う指定薬物の製造等)など、医療関係者にも大いに関わる内容が含まれており、捜査機関の捜査、逮捕勾留等により医療現場が萎縮することを強く懸念する。
 医師・歯科医師の団体として、市民社会の活動を阻害し、医療現場を萎縮させる「共謀罪」法案の国会提出に断固反対する。

以上