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※全国保険医団体連合会は、4月12日の衆議院厚生労働委員会での「地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法等の一部を改正する法律案」の採決強行を受けて別紙の声明をマスコミに送付しました。あわせて全国会議員にも送付いたしました。(PDF版はこちら)。

【抗議声明】これ以上の負担増はもう限界です―
介護保険法等地域包括ケア強化法案の採決強行に抗議し、
徹底審議の上、廃案を求めます

2017年4月14日
全国保険医団体連合会
会長 住江憲勇

 

 政府は、4月12日、衆議院厚生労働委員会において「地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法等の一部を改正する法律案」の採決を強行しました。
 今回の法案は31本もの法案を一括で提案しており、介護だけでなく、障がい者、子ども、生活困窮者など国民生活と福祉全般に幅広くかかわる法律案となっています。このように異なる分野の法律の改正を一括で提案するやり方、徹底した審議を行わず、わずかな審議時間で採決を強行する国会運営は、議会制民主主義を否定するものであり、強く抗議します。次にまた、「共謀罪」法案についても同じ政治手法をとろうとされているのでしょうか。まやかし、たぶらかし、ごまかしのこんな政治手法を国民は断じて許しません。
 今回の法案に盛り込まれている介護保険制度の見直しには、「現役並み所得者」の利用料3割化など新たな負担増が盛り込まれています。しかし、2015年の利用料引き上げの検証もされないまま3割負担を求めることについて、審議の中でも「2割負担の影響をきちんと検証すべき」「2割負担で利用者は限界」など、懸念の声が相次いでいます。
 認知症の人と家族の会による2015年度制度改正の影響調査では、2割負担導入によって利用を抑制または中断した事例が多数報告されています。また、当会が現在取り組んでいる「医療・介護の負担増の中止を求める請願署名」には、この2ヵ月間で約8万人もの方から賛同が寄せられています。
 貧困と格差の広がり、年金制度への不安が募る中、これ以上の負担増はもう限界です。お金の心配をすることなく、行き届いた介護が保障される制度への転換こそが、すべての高齢者・国民の願いです。
今回の法案には、負担増のほか、長期療養を担う療養病床の削減・廃止(介護医療院の導入)、生活援助(訪問介護)のヘルパーの配置基準の緩和・介護報酬の引き下げなど、懸念される点が多数含まれています。審議はまさにこれからという時に採決を強行したことにあらためて抗議するとともに、衆議院厚生労働委員会に差し戻し、徹底審議の上、廃案を求めます。

一、

「地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法等の一部を改正する法律案」について、衆議院厚生労働委員会に差し戻し、徹底審議の上、廃案を求めます。

以上