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※全国保険医団体連合会は、4月16日に行われた第6回原発問題学習交流会にてアピールを採択しました。(PDF版はこちら)。

【第6回原発問題学習交流会アピール

福島切り捨て政治を許さず、原発ゼロをめざして
広範な人々と連帯を

2017年4月16日
全国保険医団体連合会
第6回原発問題学習交流会

 

 福島第一原発の過酷事故から6年、原発事故の原因が未だ解明されておらず、原子炉内に拡散した核燃料(デブリ)の調査が進展せず、汚染性の発生源となる地下水の原子炉への流入を防ぐことができないなど、廃炉作業は難航している。
 安倍政権は、除染や放射性廃棄物の処分場設置がままならない中、2017年4月から避難指示を解除し、「自主避難者は自己責任」との閣僚発言に象徴されるように、原発事故による国・東電の賠償を半ば放棄する形で福島切り捨て政策を推し進めている。
 原発事故は、放射性被ばくに伴う直接間接の健康影響だけでなく、避難により郷里での居住が困難となり地域コミュニティーが崩壊させられた。生業継続が困難となり、働く場が奪われ、家族も離散させられ、郷里での居住の権利が奪われるなど住民の社会生活に甚大な影響を及ぼしている。
 福島第一原発の事故は人災であり国と東電は責任を曖昧とせず、事故原因究明と国と東電の責任で廃炉、除染、賠償を継続すること、住民の健康管理を徹底することを求める。
 廃炉や賠償費用は当初見積もりより2倍の21.5兆円に膨らみ、今後も増え続ける可能性がある。原発発電コストは高く、放射性廃棄物や使用済み核燃料の廃棄処理や管理など様々な問題が明らかとされた。
 多額の税金を長期間投入したあげく、実用化されなかった高速増殖炉もんじゅ廃炉に変わるASTRID(アストリッド)計画の模索や六カ所村など核燃サイクルに固執せず、撤退することを求める。
 2011年3月の原発事故以来、欧州では再生可能エネルギーを主力とするエネルギー政策にシフトが進んでおり、ベトナム、台湾などのアジアでも原発に頼らないエネルギー政策を選択している。
 しかし、安倍政権は、原発再稼働、原発輸出を強硬に進めてきたが、原発炉メーカ東芝のグループ企業の経営危機など原発輸出が事業として破綻していることを示した。原発をベースロード電源とするエネルギー基本計画を見直し、再生可能エネルギーにシフトしたエネルギー政策への転換を求める。
 3月14日、原発被害者賠償訴訟において、前橋地裁は、東電は、事故を予見し適切な対策を怠り、経済的合理性を安全性に優先させたこと、国は、東電の報告を受けて規制権限を行使すれば事故を防げたのに的確な規制を行使しなかったことを認定した。
 「新規制基準」は安全基準ではなく過酷事故時の避難計画が規制対象外となり、原子力規制委員長も不十分と認めている。にもかかわらず、危険な老朽原発の再稼働も新規制基準に抵触しないことを理由に事実上、川内に続き、大飯、高浜、伊方の再稼働を認める判断を示し電力事業者言いなりの姿勢に終始している。
 私たちは、熊本地震を始め、全国津々浦々で地震が頻回に発生し、地震予知は極めて困難であることを経験した。熊本地震の知見から現行の「新規制基準」は、基準地震動の計算式による想定が甘く、十分な耐震性を保有しているとは言えない(元規制委員長代理 島崎邦彦氏)との指摘があり、「想定外」にも耐えられるものとは言えない。また、過酷事故時の避難計画の策定と実行性担保が不十分であり、甲状腺被ばくに備えた安定ヨウ素剤の備蓄・配布など、万一の放射性被ばくによる健康障害を回避する対策は十分とは言えない。こうした中で「再稼働」を認めることは住民の命・健康より電力事業者の経営、経済合理性を優先する姿勢と言わざるを得ない。
 私たちは、第6回原発問題学習交流会において、脱原発を掲げて新潟県知事に当選した米山隆一氏を招き、脱原発を求める多くの世論を現実政治に反映させることを学び合い、各地の運動の交流を行った。
 原発ゼロを求める国民世論が反映される政治・社会の実現のため原発ゼロを目指す広範な人々と連帯し引き続き取り組んでいく。

以上